人工股関で障害厚生年金3級を遡って受給できるのでしょうか。

- 詳しいプロフィール
 
- 2004年:厚生労働省入省
 - 2008年:社労士資格を取得
 - 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
 - 2015年:独立し、中井事務所を設立
 
- 
  
私は5年前に再生不良性貧血になりました。
その際に使用したステロイドの影響により、右足の大腿骨頭壊死になり、半年前に人工股関節置換術を受けました。
私は20年前から途切れず厚生年金に加入しているので、障害厚生年金3級がもらえると聞き、申請を検討しています。
5年前までならさかのぼって請求できると聞きましたが、私の場合もさかのぼってもらえるのでしょうか。
 ご質問者様の場合、現在は人工股関節の置換術を受けておられるため、障害の状態は3級に相当します。
事後重症請求で障害厚生年金3級が認定されることが考えられます。
ただし、遡及請求(さかのぼって請求することを言います)で受給できるかは以下の検討が必要となります。
事後重症請求とは
障害認定日に、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなかった場合でも、その後、状態が悪化し、障害等級に該当する障害の状態となった場合、65歳に達する日の前日までに裁定請求をすることができます。
遡及請求とは
遡及請求とは、障害認定日に障害等級に該当しているが、知らなかったなどの理由で、障害認定日から1年以上経過して請求するものです。
障害認定日から3か月以内の診断書を取得することができれば、遡及請求を行うことができます。
障害認定日とは
障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 初診日から起算して1年6月を経過した日
 - 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
 
のいずれか早い日となります。
初診日とは
障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
具体的には次のような場合が初診日とされます。
- 初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)
 - 同一の傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日
 - 過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
 - 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
 - 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日
 
※ただし、知的障害の場合は、出生日が初診日となります。
ご質問者様の場合、5年前に再生不良性貧血になり、その際に使用したステロイドの影響で大腿骨頭壊死症になったとのことですので、今回の下肢の障害の初診日は、ステロイド治療を開始した時になる可能性が考えられます。
初診日から1年6か月経過した日が障害認定日になりますので、その時点の診断書を取得することができれば、遡及請求の手続きをすることは可能でしょう。
ただし、障害認定日の時点ではまだ人工股関節置換術は受けていないでしょう。
当時の右足の大腿骨頭壊死の状態が軽度で、次の認定基準に該当する程度ではない場合は、さかのぼって受給することは困難でしょう。
障害年金の一下肢の機能障害の認定基準
【2級】
- 一下肢の3大関節中いずれか2関節以上の関節が全く用を廃したもの
 
具体的には、一下肢の3大関節中いずれか2関節以上の関節が、
- 不良肢位で強直しているもの
 - 関節の他動可動域が、健側の他動可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの
 - 筋力が著減または消失しているもの
 
のいずれかに該当する程度のものをいいます。
【3級】
- 一下肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの
 
具体的には、関節の他動可動域が健側の他動可動域に2分の1以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの…例えば、起床から就寝まで固定装具を必要とする程度の動揺関節をいいいます。
- 一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの…例えば、一下肢の3大関節中1関節が不良肢位で強直しているもの
 - 人工骨頭又は人工関節をそう入置換したもの
 
ご質問内容からは、具体的な障害認定日や、その時点の障害の状態がわかりかねますが、上記の認定基準を参考にしていただき、遡及請求についてご検討されてはいかがでしょうか。
(本回答は2022年4月現在のものです。)
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このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
 - 2008年:社労士資格を取得
 - 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
 - 2015年:独立し、中井事務所を設立
 
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