人工関節は障害厚生年金3級が受給できるようなのですが、普通に生活ができても受給できるのですか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私は現在40代女性、正社員で働いています。
20代の頃から左足の痛みがあり、治療を続けていましたが完治せず、3年前に人工関節術をしました。
それからは普通に生活ができるようになりました。
障害厚生年金3級が受給できるようなのですが、普通に生活ができても受給できるのですか?
20代の時の方が痛みが強くて通勤も大変だったので、さかのぼりの請求も可能ですか?
本回答は2021年2月現在のものです。
人工関節をそう入置換したものについては、原則として3級に認定されます。
初診日の時点で厚生年金に加入し、初診日の時点で保険料納付要件を満たしていれば、普通に生活ができる状態であっても3級に認定されます。
初診日とは
障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
具体的には次のような場合が初診日とされます。
- 初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)
- 同一の傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日
- 過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
- 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
保険料納付要件とは
初診日の前日において以下の1または2を満たしている必要があります。
- 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
※ただし、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件はありません。
ご質問者様の場合も、これらの要件を満たしている場合は、障害厚生年金3級が受給できるでしょう。
さかのぼりの請求については、障害認定日時点の診断書が取得できれば請求は可能です。
障害認定日時点の障害の状態が認定基準に該当する程度であれば、さかのぼって障害年金が支給されます。
障害認定日とは
障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 「初診日」から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
一下肢の機能障害の認定基準は、次の通りです。
一下肢の機能障害の認定基準
【2級】
- 一下肢の3大関節中いずれか2関節以上の関節が全く用を廃したもの
具体的には、一下肢の3大関節中いずれか2関節以上の関節が、
- 不良肢位で強直しているもの
- 関節の他動可動域が、健側の他動可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの
- 筋力が著減または消失しているもの
のいずれかに該当する程度のものをいいます。
【3級】
- 一下肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの
具体的には、関節の他動可動域が健側の他動可動域に2分の1以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの…例えば、起床から就寝まで固定装具を必要とする程度の動揺関節をいいいます。
- 一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの…例えば、一下肢の3大関節中1関節が不良肢位で強直しているもの
- 人工骨頭又は人工関節をそう入置換したもの
【障害手当金】(症状が固定されているもの)
- 一下肢の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害を残すもの
具体的には、関節の他動可動域が健側の他動可動域の3分の2以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの…例えば、常時ではないが、固定装具を必要とする程度の動揺関節、慣習性脱臼をいいます。
ただし、下肢の機能に大きな支障がなく、疼痛(痛み)が強い場合は、以下のように取り扱われます。
疼痛について
疼痛は、原則として認定の対象となりません。
ただし、次の1〜4等の場合は、発作の頻度、強さ、持続時間、疼痛の原因となる他覚所見等により、以下の通りに取り扱います。
- 四肢その他の神経の損傷によって生じる灼熱痛
- 脳神経及び脊髄神経の外傷その他の原因による神経痛
- 根性疼痛
- 悪性新生物に随伴する疼痛等
- 3級…軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のもの
- 障害手当金…一般的な労働能力は残存しているが、疼痛により時には労働に従事することができなくなり、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの
これらの認定基準を参考にしていただき、申請をご検討されてはいかがでしょうか。
なお、年金を受け取る権利は、権利が発生してから5年を経過すると時効消滅します。
さかのぼり請求が認められても、実際に支給を受けることが出来るのは、時効消滅していない直近の5年分となります。
障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
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このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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