高次脳機能障害とてんかんで障害年金が受給できますでしょうか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私は学生の時に交通事故にあい、脳挫傷のため高次脳機能障害とてんかんになりました。
高次脳機能障害の症状としては、忘れやすい、言葉が出にくい、
物事の優先順位がわからないなどです。
てんかんについては、脳波で異常がみられるのですが、
投薬のおかげで発作はまだ一度も出ていません。
現在障害者雇用で働いているのですが、私は障害年金が受給できますでしょうか?
本回答は2020年2月現在のものです。
ご質問者様の場合、てんかんでは認定を得ることは難しいことが考えられます。
高次脳機能障害で障害基礎年金2級の認定を得ることができれば、受給が可能となります。
まず、てんかんについてですが、てんかん発作については、
抗てんかん薬の服用や外科的治療によって抑制される場合にあっては、
原則として認定の対象にはなりません。
そのため、てんかんでは認定を得ることは難しいことが考えられます。
てんかんの認定基準
【1級】
- 十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが月に1回以上あり、かつ、常時の援助が必要なもの
【2級】
- 十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが年に2回以上、もしくは、C又はDが月に1回以上あり、かつ、日常生活が著しい制限を受けるもの
【3級】
- 十分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが年に2回未満、もしくは、C又はDが月に1回未満あり、かつ、労働が著しい制限を受けるもの
(注)発作のタイプは以下の通りです。
- A:意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作
- B:意識障害の有無を問わず、転倒する発作
- C:意識を失い、行為が途絶するが、倒れない発作
- D:意識障害はないが、随意運動が失われる発作
次に高次脳機能障害について、
初診日は学生の時であることが拝察されるため、障害基礎年金の請求になり、
障害の状態が2級以上に該当すると判断された場合、障害基礎年金が支給されます。
初診日とは
障害の原因となった傷病について、
初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
具体的には次のような場合が初診日とされます。
- 初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)
- 同一の傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日
- 過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
- 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
- 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日
※ただし、知的障害の場合は、出生日が初診日となります。
障害厚生年金か障害基礎年金か
障害厚生年金を受給できるか、障害基礎年金の受給となるかは、
初診日に加入していた年金制度によって決まります。
- 初診日が厚生年金被保険者期間中にある場合は、障害厚生年金
- 初診日が国民年金被保険者期間中にある場合は、障害基礎年金
- 初診日が20歳前または60歳以上65歳未満(国内に住んでいる方のみ)の年金未加入期間にある場合は、障害基礎年金
障害基礎年金と障害厚生年金の障害等級について
- 障害基礎年金…1級および2級
- 障害厚生年金…1級、2級および3級
高次脳機能障害の認定基準
【1級】
- 高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため、常時の援助が必要なもの
【2級】
- 認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、日常生活が著しい制限を受けるもの
【3級】
- 認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、労働が制限を受けるもの
- 認知障害のため、労働が著しい制限を受けるもの
また、精神障害で就労している場合の日常生活能力については、
以下のように判断されます。
精神障害で就労している場合の日常生活能力の判断について
精神障害で就労している場合、
労働に従事していることをもって直ちに日常生活能力が向上したものととらえず、
その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、
仕事場で受けている援助の内容、
他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで、日常生活能力を判断されます。
ご質問者様の場合、忘れやすい、言葉が出にくい、
物事の優先順位がわからないなどがあるとのことですが、
そのために労働や日常生活に制限があり、周りの援助が必要な程度であれば、
2級の認定が得られる可能性も考えられます。
特に障害者雇用で働いているとのことですので、
仕事場で受けている援助や配慮の内容などをしっかり記載し、申請をご検討されてはいかがでしょうか。
◎障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
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審査を受ける機会は審査請求、再審査請求を含めて3回あります。
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お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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