障害年金3級は、在宅酸素を始めた時からもらえるのでしょうか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
-
私は3年前に間質性肺炎になりました。
先月から在宅酸素をはじめながらの生活となりました。
在宅酸素は障害年金3級がもらえると聞きました。
障害年金3級は、在宅酸素を始めた時からもらえるのでしょうか?
それとも間質性肺炎になったときからもらえるのでしょうか?
本回答は2020年7月現在のものです。
障害年金がもらえるのは、現時点からか、もしくは「障害認定日」にさかのぼってもらうかのどちらかのみです。
ご質問者様の場合、在宅酸素を始めた時からもらえるのではありません。
間質性肺炎になったときからもらえるのでもありません。
請求ができるのは今後の分(事後重症請求)か、「障害認定日」にさかのぼって請求(障害認定日請求)のどちらかになります。
事後重症請求とは
障害認定日に、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなかった場合でも、その後、状態が悪化し、障害等級に該当する障害の状態となった場合、65歳に達する日の前日までに裁定請求をすることができます。
障害認定日請求とは
障害認定日時点での診断書を取得し、請求することを障害認定日請求といいます。
※障害認定日とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 初診日から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
ご質問者様の場合、現在は在宅酸素をしているとのことですので、事後重症請求では3級が認定されることが考えられますが、障害認定日請求では、間質性肺炎の状態によって等級が判断されることが考えられます。
在宅酸素療法を施行中のものについて
原則として、以下のいずれも満たしているものは、3級と認定されます。
- 常時(24時間)の在宅酸素療法を施行中
- 軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度
間質性肺炎などの呼吸不全の認定基準は、以下の通りです。
呼吸器疾患の認定基準
【A表 動脈血ガス分析値】
区分
検査項目
単位
軽度異常
中等度異常
高度異常
1
動脈血O2分圧
Torr
70~61
60~56
55以下
2
動脈血CO2分圧
Torr
46~50
51~59
60以上
(注)病状判定に際しては、動脈血 O2分圧値を重視する。
【B表 予測肺活量1秒率】
検査項目
単位
軽度異常
中等度異常
高度異常
予測肺活量1秒率
%
40~31
30~21
20以下
【1級】
以下2点を満たすもの
- 上記A表及びB表の検査成績が高度異常を示すもの
- 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの
【2級】
以下2点を満たすもの
- 上記A表及びB表の検査成績が中等度異常を示すもの
- 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の 50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの、または、歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの
【3級】
以下2点を満たすもの
- 上記A表及びB表の検査成績が軽度異常を示すもの
- 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの、または、軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの
※呼吸不全の障害の程度の判定は、A表の動脈血ガス分析値を優先するが、その他の検査成績等も参考とし、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して、総合的に認定するとされています。
上記の認定基準を参考にしていただき、事後重症請求のみを行うか、障害認定日請求も行うか、ご検討されてはいかがでしょうか。
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このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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