障害年金は、働いていてはもらえない、と定められているものではありません。
就労していたとしても、日常生活能力等を判断した結果、障害の状態が障害等級に該当すると認定されれば、障害年金を受給することができます。
精神障害で就労している場合の日常生活能力は、以下のように判断されます。
精神障害で就労している場合の日常生活能力の判断について
精神障害で就労している場合、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものととらえず、
- 療養状況
- 仕事の種類、内容
- 就労状況
- 仕事場で受けている援助の内容
- 他の従業員との意思疎通の状況
等を十分確認したうえで日常生活能力を判断されます。
上記も十分に確認したうえで、障害の状態が障害等級に該当すると判断されれば、障害年金を受給することができます。
また、精神の障害は、多種であり、かつ、その症状は同一原因であっても多様です。
精神の障害の分類
精神の障害は、以下のように区分されます。
- 統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害
- 気分(感情)障害
- 症状性を含む器質性精神障害
- てんかん
- 知的障害
- 発達障害
たとえば、統合失調症は、罹患後数年ないし十数年の経過中に症状の好転を見ることもあります。
また、てんかんについては、発作間欠期(発作が起きていないとき)は動くことができる方もいるでしょう。
しかしこれらは、状態が改善したのではなく、病気の特徴のひとつともいえます。
服薬によって症状を抑えながら、周囲には元気にふるまって必死で頑張っている方もいらっしゃるかもしれません。
本事案の場合
ご質問内容からは、傷病名が分かりかねますが、精神障害で障害年金2級を受給している人が元気に常勤で働いていたとしても、一概に不正であると断じることはできないでしょう。
なお、障害年金の認定を行うのは日本年金機構であり、市役所ではありません。
生活保護の場合は、就労収入等の調査が行われることがありますが、障害年金は、生活保護などの公的扶助と違い、一定の保険事故に対して、被保険者があらかじめ保険料を拠出し、保険者が給付を行う、社会保険のひとつです。
原則として年金保険料の納付を前提とする制度となっており、「保険料を払ったから保険給付を受けられる」という点では民間保険と近い制度になっています。
そのため、働いていても受給できる場合があります。