知的障害で障害年金ってもらえるのですか?障害年金は審査が厳しいらしいということで混乱しています。

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知的障害で障害年金ってもらえるのですか?障害年金は審査が厳しいらしいということで混乱しています。

中井智博
中井智博社会保険労務士
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公開日: 最終更新日:

知的障害の子供がいます。

障害年金の申請を考えているのですが、特別支援学級のママ友の間では「療育手帳がB1でももらえなかった子がいる」とか「病院に全然行ってないけどどうしよう」とか混乱が広がっています。

どうやら難しいようだということはわかるのですが、結局のところ知的障害で障害年金ってもらえるのですか?

 

知的障害は、知的機能の障害が発達期(おおむね18歳未満)にあらわれ、日常生活の中でさまざまな不自由が生じます。弊所でもご相談が多い傷病です。

知的障害(精神遅滞)は、障害年金の認定の対象とされているので基準を満たせば受給できます。

障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。

知的障害の方は、「障害基礎年金」の支給対象となります。

障害の状態の前に、知的障害で障害年金を請求するときの注意点を確認

受診状況等証明書(初診の証明)は必要ありません。

知的障害は、先天性またはおおむね18歳までに知的機能の障害があらわれるので、実際に初めて受診した日がいつであるかに関わらず、生まれた日を初診日とされます。

そのため、他の傷病では初診日の傷病が必要ですが、知的障害に限っては、初診日の証明は必要ありません。

保険料納付要件は問われません。

通常、障害年金を受給するためには、保険料をある程度納付していることが必要となりますが、知的障害はこの限りではありません。

生年月日を初診日とするため、保険料納付要件を問われることはありません。

20歳が到来すれば請求できます。

知的障害の場合、20歳に到達したら障害年金を請求することができます。

幼少の頃から療育手帳の交付を受けていたとしても、20歳の到来を待たなければなりません。

一方、20歳を過ぎてから知的障害であることがわかった場合は、すぐに障害年金を請求することができます。

この場合は、初診日から1年6月の経過を待つ必要はありません。

医師に診断書を書いていただく時期に注意が必要です。

20歳の時点で請求し、審査を受ける場合は、「20歳の誕生日の前後3カ月以内」の診断書が必要となります。

20歳を過ぎてから知的障害であることがわかり、20歳を過ぎてから障害年金を請求する場合は、請求日から3カ月以内の診断書が必要となります。

 

それでは、以下で知的障害での障害年金の請求について、詳しくみていきましょう。

知的障害での障害年金請求について

知的障害の方は、例えば、複雑な事柄やこみいった文章・会話の理解が不得手であったり、おつりのやりとりのような日常生活の中での計算が苦手だったりすることがあります。また、障害のあらわれ方は個人差が大きく、少し話をしただけでは障害があることを感じさせない方もいます。しかし、自分のおかれている状況や抽象的な表現を理解することが苦手であったり、未経験の出来事や状況の急な変化への対応が困難であったりする方が多くなっています。

引用元:東京都福祉保健局ハートシティ東京

障害年金の診断書では、こうした知的障害の症状について、以下の項目で表します。

  • 知的障害 ア 軽度  イ 中等度  ウ 重度  エ 最重度

上記のような知的障害の様々な症状によって日常生活が阻害される方はたくさんいらっしゃいます。

知的障害によって生活や仕事などに支障がある場合、障害年金の認定の対象とされています。

「手続きが難しいから」「一度不支給になったから」と諦めている方も、実は認定を得られるかもしれません。

まずは、どのような状態なら障害年金を受給できるか、みていきましょう。

どのような状態なら障害年金を受給できるか

障害年金では、ケガや病気の程度に応じて等級が設定されています。

▼障害基礎年金
1級と2級

障害が重い順に、1級、2級となります。

1級、2級の状態は、以下の通りとなっています。

障害年金の等級 障害の状態
2級 日常生活に著しい制限があるもの
1級 他人の介助がなければほとんど自分の用事を済ませることができないもの
障害年金の受給額は以下の通りです。

知的障害の場合は、生まれた日を初診日とみなされます。初診日が20歳前で年金加入義務がない場合は、障害基礎年金の対象となります。

障害等級

障害基礎年金

1級

年993,750円

2級

年795,000円

引用元:日本年金機構:障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額

障害年金だけで悠々自適ではありませんが、受給できれば、日常生活に大きな助けとなるでしょう。

このページの最後の方に弊所で手伝って受給できた事例を掲載していますので、そちらもご確認ください。

知的障害で審査されること

障害年金においては先の等級に該当するかどうかを、「具体的な日常生活状況等の生活上の困難」を中心に審査されます。

具体的にどのような項目を審査されるのか、以下で確認しましょう。

「日常生活の状況」は以下の7項目について評価されます。

(1)適切な食事
配膳などの準備も含めて適当量をバランスよく摂ることがほぼできるなど。

(2)身辺の清潔保持
洗面、洗髪、入浴などの身体の衛生保持や着替えなどができる。また、自室の清掃や片付けができるなど

(3)金銭管理と買い物
金銭を独力で適切に管理し、やりくりがほぼできる。また、一人で買い物が可能であり、計画的な買い物がほぼできるなど。

(4)通院と服薬
規則的に通院や服薬を行い、病状などを主治医に伝えることができるなど。

(5)他人との意思伝達及び対人関係
他人の話を聞く、自分の意思を相手に伝える、集団的行動が行えるなど。

(6)身辺の安全保持及び危機対応
事故などの危険から身を守る能力がある、通常と異なる事態となったときに他人に援助を求めるなどを含めて、適正に対応できるなど。

(7)社会性
銀行での金銭の出し入れや公共施設などの利用が一人で可能。また、社会生活に必要な手続きが行えるなど。

また、上記7項目を含めて「日常生活能力の程度」を以下のいずれかで評価されます。

1. 精神障害(病的体験・残遺症状・認知障害・性格変化等)を認めるが、社会生活は普通にできる。

2. 精神障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には、援助が必要である。
(たとえば、日常的な家事をこなすことはできるが、状況や手順が変化したりすると困難を生じることがある。社会行動や自発的な行動が適切に出来ないこともある。金銭管理はおおむねできる場合など。)

3.精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である。
(たとえば、習慣化した外出はできるが、家事をこなすために助言や指導を必要とする。社会的な対人交流は乏しく、自発的な行動に困難がある。金銭管理が困難な場合など。)

4.精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である。
(たとえば、著しく適正を欠く行動が見受けられる。自発的な発言が少ない、あっても発言内容が不適切であったり不明瞭であったりする。金銭管理ができない場合など。)

5.精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必要である。
(たとえば、家庭内生活においても、食事や身のまわりのことを自発的にすることができない。また、在宅の場合に通院等の外出には、付き添いが必要な場合など。)

年金機構は、日常生活能力等の判定に関して「身体機能及び精神機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するように努めること」と定めています。

少しわかりづらいので言い換えます。

「日常生活の状況」の評価項目は社会的な適応性と密接な関係があり、適切な食事や身辺の清潔を保つことができなければ、社会生活を送ることが困難になります。

つまり、社会的な適応性の程度を評価し、適切な等級を決定しましょうということです。

障害等級の目安について

さきほど挙げた「日常生活」の評価項目の7項目について軽い方から1~4にポイント化し、平均を算出し、「日常生活能力の程度」の5段階と合わせて、以下の表に照らし、おおまかな等級の目安が示されます。

障害等級の目安

※障害基礎年金の請求の場合、表内の「3級」は「2級非該当=不支給」と読み換えます。

少し分かりづらいので具体例を出してみます。

▼「日常生活の状況」(適切な食事や身辺の清潔保持等の7項目)

7項目の平均点が「3」

▼「日常生活能力の程度」
「4」に相当(精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である)

この場合、以下の表のように「2級」に該当する可能性があるということになります。

障害等級の目安の例

受給できる可能性があるか否か、お気軽にご相談ください。

ガイドラインはあくまで「目安」

ガイドラインで障害等級の目安は示されていますが、あくまで「目安」であり、この目安のみで等級が決まるものではありません。

以下の要素も加味して総合的に評価されます。

  • 現在の病状または状態像
  • 療養状況
  • 生活環境
  • 就労状況
  • その他

考慮する項目

考慮する要素

具体的な内容例

現在の病状または状態像

・知能指数を考慮されます。ただし、知能指数のみに着眼することなく、日常生活の様々な場面における援助の必要度を考慮されます。

・不適応行動を伴う場合に、診断書の「ア 現在の病状又は状態像」の知能障害等または発達障害関連症状と合致する具体的記載があれば、それを考慮されます。

-

療養状況

・通院の状況…頻度、治療内容、服薬状況など

・著しい不適応行動を伴う場合や精神疾患が併存している場合は、その療養状況も考慮されます。

-

生活環境

・家族等の日常生活上の援助や福祉サービスの有無を考慮されます。

・入所施設やグループホーム、日常生活上の援助を行える家族との同居など、支援が常態化した環境下では日常生活が安定している場合でも、単身で生活するとしたときに必要となる支援の状況を考慮さます。

・独居の場合、その理由や独居になった時期を考慮されます。

・在宅での援助の状況を考慮されます。

・施設入所の有無、入所時の状況を考慮されます。

・独居であっても日常的に家族等の援助や福祉サービスを受けることによって生活できている場合(現に家族等の援助や福祉サービスを受けていなくても、その必要がある状態の場合も含む)は、それらの支援の状況(または必要)を踏まえて、2級の可能性を検討されます。

・在宅で、家族や重度訪問介護等から常時個別の援助を受けている場合は、1級または2級の可能性を検討されます。

・入所施設において、常時個別の援助が必要な場合は、1級の可能性を検討されます。

就労状況

・労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況などを十分確認したうえで日常生活能力を判断されます。

・援助や配慮が常態化した環境下では安定した就労ができている場合でも、その援助や配慮がない場合に予想される状態を考慮されます。

・相当程度の援助を受けて就労している場合は、それを考慮されます。

・就労の影響により就労以外の場面での日常生活能力が著しく低下していることが客観的に確認できる場合は、就労の場面及び就労以外の場面の両方の状況を考慮されます。

・一般企業(障害者雇用制度による就労を除く)での就労の場合は、月収の状況だけでなく、就労の実態を総合的にみて判断されます。

・仕事の内容が専ら単純かつ反復的な

業務であれば、それを考慮されます。

・仕事場での意思疎通の状況を考慮されます。

・就労系障害福祉サービス(就労継続支援A型、就労継続支援B型)及び障害者雇用制度による就労については、1級または2級の可能性を検討されます。就労移行支援についても同様。

・障害者雇用制度を利用しない一般企業や自営・家業等で就労している場合でも、就労系障害福祉サービスや障害者雇用制度における支援と同程度の援助を受けて就労している場合は、2級の可能性を検討されます。

・一般企業で就労している場合(障害者雇用制度による就労を含む)でも、仕事の内容が保護的な環境下での専ら単純かつ反復的な業務であれば、2級の可能性を検討されます。

・一般企業で就労している場合(障害者雇用制度による就労を含む)でも、他の従業員との意思疎通が困難で、かつ不適切な行動がみられることなどにより、常時の管理・指導が必要な場合は、2級の可能性を検討されます。

その他

・「日常生活能力の程度」と「日常生活のる良くの判定」に齟齬があれば、それを考慮されます。

・「日常生活能力の判定」の平均が低い場合で買っても、各障害の特性に応じて特定の項目に著しい偏りがあり、日常生活に大きな支障が生じていると考えられる場合は、その状況を考慮されます。

・発育・養育歴、教育歴などについて、考慮されます。

・療育手帳の有無や区分を考慮されます。

・中高年になってから判明し請求する知的障害については、幼少期の状況を考慮されます。

・特別支援教育、またはそれに相当する支援の教育歴がある場合は、2級の可能性を検討されます。

・療育手帳の判定区分が中度以上(知能指数がおおむね50以下)の場合は、1級または2級の可能性を検討されます。それより軽度の判定区分である場合は、不適応行動等により日常生活に著しい制限が認められる場合は、2級の可能性を検討されます。

・療育手帳がない場合、幼少期から知的障害があることが、養護学校や特殊学級の在籍状況、通知表などから客観的に確認できる場合は、2級の可能性を検討されます。

総合的に評価された結果、目安よりも低い等級となるケースも、高い等級となるケースもあります。

障害年金の審査では様々な要素を加味して判断されます。

障害年金の審査は、すべて書類で行われ、面接等はありません。

書類で伝わらないことは「ないもの」として扱われますので、しっかりと書類で伝える必要があります。

もし、ご不安な方は以下からお問い合わせください。

それでは手続きの流れを確認しましょう。

障害年金の請求手続きの流れ

「障害年金を請求しよう!」と思ってから請求までの大まかな流れは以下の通りとなります。

  1. 医師に診断書を書いていただく
  2. 病歴・就労状況等申立書を作成する
  3. その他の必要な書類を添付する
  4. 年金請求書とともに揃えた書類を提出する

弊事務所のサポートによって受給できた事例

弊事務所でサポートした知的障害の受給事例を紹介いたします。

こちらを参考に「自分ももらえるのではないか」という可能性を探ってみてください。

事例1 病名:軽度知的障害(障害者雇用で働き、受診もしていなかった事例)

この方は特別支援学校を卒業後、障害者雇用で就労していました。また、精神的には安定しており、服薬の必要もなかったことから医療機関を受診していませんでした。

特別支援学校の母親のつながりから、療育手帳B1でも障害年金をもらえていない子がいるという情報もあり、請求人は軽度知的障害であり療育手帳の等級はB2、しかも就労もしていることから、障害年金をもらえないのではないかと不安になりご相談にお見えになりました。

傷病名

軽度知的障害

障害の状態

自発的な発言はほとんどない。簡単な書字はできるが、足し算、引き算が苦手で、些細なことで混乱する。

就労状況

障害者雇用にて2年間就労を継続。給与は月に約16万円であった。

療育手帳の等級

療育手帳B2

労働能力及び日常生活能力

日常生活も援助を要することは多い。就労は管理、指導が必要。

予後

不変

認定が得られた障害年金の等級

障害基礎年金2級

障害年金の受給額

年額約78万円

本事例のポイント

月給16万円あり安定して就労ができている状態での請求となった。

知能指数のみで認定されるのではない!

知的障害の認定に当たっては、知能指数のみに着眼することなく、日常生活の様々な場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断されます。

軽度知的障害であったとしても、日常生活における不自由さを明確にすることで認定を得られている事例はたくさんあります。

特にご両親が手続きをされる場合、大切なお子様のことですので、客観的な視点から書類を作成することが難しいというケースが見受けられます。

ご不安な方は以下からお問い合わせください。

働いているからといって不支給になるとは限りません。

働いているからといって、不支給になるとは限りません。

障害年金の受給者のうち、34.06%の方々が働きながら受給しています。

受給者数 働いていない 働いている 働いている人の割合
2,096,000人 1,346,000人 714,000人 34.06%

参照元:年金制度基礎調査(障害年金受給者実態調査)

そして、精神の障害については、28.28%の方々が働きながら受給しています。

精神障害による
受給者数
働いていない 働いている 働いている人の割合
725,000人 508,000人 205,000人 28.28%

また、働いていることを理由に支給が認められなかった方が訴訟した結果、受給が認められた判例もあります。

このように、働いているからといって受給できないわけではないことがわかります。

働いている場合に考慮されること

労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、

  • 療養状況…通院の状況や在宅での療養の状況等
  • 仕事の種類、内容
  • 就労状況…出勤状況への影響はないか
  • 仕事場で受けている援助の内容…就労の実態は不安定ではないか
  • 援助や配慮がない場合に予想される状態
  • 他の従業員との意思疎通の状況…臨機応変な対応や意思疎通に困難な状況が見られないか

等を十分確認したうえで日常生活能力を判断されます。

請求サポートさせていただき、無事支給となりました。

この方は医療機関をしていませんでしたが、障害年金の請求には必ず医師の診断書が必要となりますので、まずは受診先を探すことからスタートしました。

また、日常生活状況や就労状況についても丁寧に聞き取りをしました。

大切なお子様のことですので、お母さまが「できています」「できるようになった」と仰ることを客観的にできているのかひとつひとつ紐解いていきました。

安定して就労できていることから日常生活に支障がないと誤解されないように詳細な書類を作成しました。

結果、障害基礎年金2級の認定を得ることができ、大変喜んでおられました。

事例2 病名:中等度知的障害(ご家族が請求手続きをして不支給になっていた事例)

これまでに2度お母様が書類を作成して障害年金を請求していましたが、いずれも不支給に終わっていました。

障害者雇用を試みましたが継続できず、就労支援センターへ通所していました。

障害年金が必要だが、もう自分たちで請求しても無理だと考え、弊事務所にご相談に見えました。

傷病名

中等度知的障害

障害の状態

会話内容を十分に理解することができず、口頭指示や文章指示の理解が苦手。複数の作業を並行して行うこと、他者と協力してひとつの作業を行うことはできない。

就労状況

無職

療育手帳の等級

療育手帳B1

労働能力及び日常生活能力

家族や就労支援センター職員以外との交流はほぼ不可。アルバイトを含めた就労は難しい。

予後

就労支援センターでの訓練を続ければ、単純作業を行えるようになることは期待ができる。ただし、保護的な環境が必要。

認定が得られた障害年金の等級

障害基礎年金2級

障害年金の受給額

年額約78万円

本事例のポイント

実際の日常生活について客観的な視点から捉え直すことが必要でした。

中等度知的障害でも不支給になっていた理由

過去に不支給となった際の提出書類を確認すると、中等度知的障害とは思えないような症状の軽い診断書、病歴・就労状況等申立書の内容でした。

このような結果となった理由は、以下の通りです。

  • 診断書の作成時しか受診しておらず、普段の様子が医師に伝わっていなかった。
  • 家族の支援のもとで生活をすることが当たり前になっており、診断書の作成時の聞き取りでも、家族の支援がある前提で答えていた。
  • 病歴・就労状況等申立書に記載すべき内容がわからず、親としての後悔や「お金がなくて困っている」といった、障害年金の審査には影響しないことを中心に記載していた。

障害年金は書面審査ですので、提出した書類に記載されていることから審査されます。

本事例では、中等度知的障害で療育手帳B1の交付を受けていましたが、実際の状態が提出書類に反映されていないことで、残念な結果となっていました。

請求サポートさせていただき、無事支給となりました。

ご家族から弊所で聞き取りを行った際も「日常生活は問題ありません。働けないから困っているだけです」とお答えになっていました。

そこで、食事や入浴といった日常生活動作について誰が準備をしているのか、誰が声掛けをしているのか等を確認し、「単身だったらどういう状態になるか」ということを明らかにしていきました。

「単身だったらどういう状態になるか」をきちんと医師に伝え、診断書に反映していただきました。

病歴・就労状況等申立書には、客観的な視点で日常生活状況について詳細に記載しました。

結果、無事に障害基礎年金2級を得ることができ、非常に喜んでおられました。

ずっと一緒にいる、ずっとサポートし続けているお子様について客観的な視点から捉えられるかご不安な方は、以下からお問い合わせください。

事例3 病名:ダウン症(額改定請求で1級を得られた事例)

3年前にご家族が障害年金の請求手続きをし、障害基礎年金2級を受給しておられました。

しかし、特別支援学校で同級生であった同じダウン症の子は1級なのに、2級しかもらえていないことに不満を持っておられました。

いろいろな専門家に問い合わせたところ、「施設に入所していないから1級は無理」、「家から出られない状態でないと1級は無理」と言われたとのことでした。

この方の場合、障害者支援施設にて生活介護を受けていましたので、その点から無理だと判断されたようでした。

また、ダウン症であり、特性上状態が悪化するわけではないのに、額改定請求で等級を上げてもらうことができるのか不安に感じておられました。

もう家族では1級を目指すことはできないと感じ、ご相談にお見えになりました。

傷病名

ダウン症

障害の状態

障害者支援施設にて生活介護を受けていた。書字、読字はできず、数字の概念、お金の価値がわからない。

就労状況

無職

療育手帳の等級

療育手帳A

労働能力及び日常生活能力

生活全般において、母親が全面的に支援している。

予後

不良

認定が得られた障害年金の等級

障害基礎年金1級

障害年金の受給額

年額約97万円

本事例のポイント

実際の状態が医師へ伝わっていなかった。

知的障害やダウン症の方も額改定請求をすることができます。

障害年金は、障害の程度が重くなったときは、その旨を申し立てることもできます。この申立てを、額改定請求といいます。

知的障害やダウン症の方の場合、障害の特性上、障害の程度が悪化する、ということはあまりないでしょう。

しかし、知的障害やダウン症の方も、現在受けている年金の等級よりも上位等級に該当するのではないかと思われる場合、額改定請求をすることができます。

ダウン症なのに障害年金2級となっていた理由

この方の場合、服薬の必要もありませんので医師とのつながりは希薄であり、障害年金請求のためだけに受診をし、その場で診断書を書いていただいたとのことでした。

2級の認定を得られた診断書を拝見すると、「他人との意思伝達」や「危機対応」、「簡単な文字や数字の理解」がある程度できるという表記になっていました。

障害年金は書類審査であり、面接はありません。

もし面接があれば、当然に1級の認定を得られると思われるケースでも、書類が1級に相当する者でなければ、1級の認定は得られません。

実際の状態が全く医師に伝わっていなかったことで、得られるべき1級を得られていませんでした。

施設に入所していないと障害年金1級はもらえない?

確かに、知的障害の審査では、施設入所の有無、入所時の状況を考慮することとされています。

しかし施設入所の有無は、日常生活能力を審査する際のたくさんの要素のうちのひとつに過ぎません。

在宅であっても、家族や重度訪問介護等から常時個別の援助を受けている場合は、そのことも考慮されます。

決して、施設に入所していないと障害年金1級はもらえないというものではありません。

家から出られない状態でないと障害年金1級はもらえない?

確かに障害年金1級の状態の基本として、「たとえば家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね就床室内に限られるもの」と例示されています。

しかし、これは飽くまで「例示」です。

現に家から出ていると1級にならない、という主旨ではありません。

請求サポートさせていただき、無事支給となりました。

実際は1級を得られて当然の状態でした。

障害年金の審査は、書類審査です。

提出した書類から明らかでないことは「ないもの」と扱われます。

そのため、書字や読字、数字の概念の理解ができないこと、信号の意味の理解がおぼつかないこと、空腹を訴えることができないこと等事実を整理し、医師に正確に伝え、診断書にご反映いただきました。

結果、無事に障害基礎年金1級の認定を得ることができて、大変喜んでおられました。

 

それでは、障害年金の審査について詳しくみていきましょう。

障害年金の審査について

障害年金の審査に、面接はありません。

すべて書類で審査されます。

そのため、書類だけで「日常生活にどのような制限を受けているのか」「働いているならどんな風に働いているのか」を審査機関に分かるように作成しなければなりません。

本当は障害年金を受給できる状態なのに、書類が不十分だからといって不支給になるのは残念なことです。

障害の状態の審査には、主に「診断書」と「病歴・就労状況等申立書」が使用されます。

診断書について

障害年金を請求するための診断書は、治療のための医学的な診断書ではなく、生活に必要な所得保障のための社会医学的な診断書です。

そのため、病気やけがなどによって日常生活にどれくらい影響を及ぼしているかがわかるように作成いただくことが大切です。

自分一人でお医者様に伝えることが難しい場合は、お医者様に伝えるべきポイントを整理するようサポート致しますのでお問い合わせください。

病歴・就労状況等申立書について

これは、「発病から現在までの病状・治療の流れ」「日常生活の様子」を記述し、あなたの症状や生活状況が、障害年金の基準を満たすことを申し立てるものです。

適切な「病歴・就労状況等申立書」を作るために必要なことは以下の2点です。

  1. 自分自身の状況を客観的に把握すること
  2. 把握した内容を、審査機関に伝わるようにわかりやすく記述すること

ただでさえ障害を抱えて大変な状況なのに、時間と精神的・体力的な負担がかかる作業になるおそれがあります。

私にご相談いただければ、代筆いたします。

障害年金を受給するために

障害年金の申請は、国民年金法・厚生年金法や認定基準等をご存じない方がひとりで対応するには限界があります。

ご自分の生活がかかった大切なことなので、専門家である社労士に知識・経験を求めるのが最善の選択です。

「事務手数料の2万円を支払うのが惜しくて、とりあえず自分でやってみたけど不支給だった。なんとかしてください」というご相談をいただくケースがあります。

当然その時点からできる限りのサポートをさせていただくのですが、事後重症請求の方の場合、1か月請求が遅くなれば、障害基礎年金2級なら毎月約6万5千円ずつ捨てていくことになります。

最初にかかる2万円の事務手数料を惜しんだばかりに、障害年金の受け取りが数か月遅くなっては本末転倒です。

一人でわけも分からず不安いっぱいで戦うのではなく、あなたの代理人となって受給に向けて取り組んでくれる専門家である社労士を味方につけてください。

お気軽にお問合せください。

障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。

煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。

どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。

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