数年間通院していない期間がありますが、障害年金はもらえるでしょうか。

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私は20歳の頃に自律神経失調症と診断され、しばらく精神科に通っていた時期もありましたが、数年で行かなくなりました。
その後、仕事をしている期間もあり結婚もしたのですが、35歳の時にパニック障害を発症しました。
別の病院ですが、精神科の通院を再開し、現在はうつ病とADHDと診断され、仕事は休職しています。
このような経緯ですが、私は障害年金はもらえるでしょうか。
ご質問者様の場合、現在はうつ病とADHD(注意欠陥多動障害)と診断されているとのことですので、障害年金の申請は可能でしょう。
ただし、障害年金を申請するためには、初診日要件や保険料納付要件を確認しなければなりません。
初診日がわからず、要件を満たしているか確認ができない場合は、受給ができないケースもあります。
障害年金を受給するための要件
- 初診日要件…障害の原因となった病気やケガを医者か歯科医師に診てもらった日は、国民年金と厚生年金のどちらに加入していたか
- 保険料納付要件…初診日の前日において、一定以上の年金保険料を納めているかどうか。
- 障害認定日要件…障害認定日の状態が、厚生労働省が定めた「障害の基準」を満たしているかどうか
ご質問者様の場合、初診日が20歳の時になるのか35歳の時になるのか、ご質問内容のみでは判断いたしかねます。
20歳の時の自律神経失調症と、現在の傷病が同一傷病と判断された場合は、20歳の時が初診日になることが考えられますが、通院をしていない期間が数年間あるため、別傷病と判断される可能性も考えられます。
初診日とは
障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
具体的には次のような場合が初診日とされます。
- 初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)
- 同一の傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日
- 過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
- 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
- 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日
- 先天性心疾患、網膜色素変性症などは、具体的な症状が出現し、初めて診療を受けた日
※ただし、知的障害の場合は、出生日が初診日となります。
ご質問内容からは、療養の経緯等がわかりかねるため、どちらが初診日になるかの判断は致しかねますが、まずは初診日を特定し、その時点で保険料納付要件を満たしているか、また、現在の障害の状態が認定基準に該当するか確認しましょう。
保険料納付要件とは
初診日の前日において以下の1または2を満たしている必要があります。
- 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
※ただし、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件はありません。
うつ病の認定基準
- 1級…高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたは頻繁に繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの
- 2級…気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたは頻繁に繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの
- 3級…気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したりまたは繰り返し、労働に制限を受けるもの
発達障害の認定について
発達障害については、たとえ知能指数が高くても社会行動やコミュニケーション能力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことが出来ないために日常生活に著しい制限を受けることに着目して認定をされます。
発達障害の認定基準
【1級】
以下1〜2を満たすもの
- 社会性やコミュニケーション能力が欠如している
- 著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの
【2級】
以下1〜2を満たすもの
- 社会性やコミュニケーション能力が乏しい
- 不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの
【3級】
以下1〜2を満たすもの
- 社会性やコミュニケーション能力が不十分
- 社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの
上記の要件および認定基準を満たしている場合は、障害年金がもらえる可能性が考えられます。
参考にしていただき、申請についてご検討されてはいかがでしょうか。
(本回答は2022年8月現在のものです。)
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このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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