障害年金の診断書は精神科の医師だけ?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私の母は20年以上前から体の変調を訴え、内科でビタミン剤などでごまかしていました。
しかし次第に症状が酷くなり、うつ状態が出てきたため、7年前に精神科を受診しました。
うつ病と診断され、現在も治療しています。
障害年金は「精神の状態だと思っていなくとも、最初に内科にかかった時が初診日となる」
と説明されました。
母の場合、内科が初診日になるのでしょうか?
20年前の診療所は廃院し、カルテはないと言われたのですが、
その場合は、申請そのものができないのでしょうか。
本回答は2019年10月時点のものです。
ご質問内容からは、内科でどのような診断を受けていたかが分かりかねますが、
内科の症状と、現在のうつ病との間に相当因果関係がある場合は、
内科の初診日がうつ病の初診日になる可能性が考えられます。
初診日とは
障害の原因となった傷病について、
初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
具体的には次のような場合が初診日とされます。
- 初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)
- 同一の傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日
- 過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
- 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
- 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日
※ただし、知的障害の場合は、出生日が初診日となります。
相当因果関係とは
前の疾病または負傷がなかったならば、
後の疾病が起こらなかったであろうと認められる場合は、
相当因果関係ありと見て前後の傷病を同一傷病として取り扱います。
そのため初診日は、
前の疾病または負傷について初めて医師等の診療を受けた日となります。
例えば、内科で腹痛を訴え、整腸剤などを処方されていたが、
次第にうつ状態が出現したため医師に相談したところ、精神科を勧められた、
というような場合は、
うつ状態について医師に相談し、精神科を勧められた日が初診日になる可能性が考えられます。
障害年金は、初診日の特定ができない場合は、認定を得られないケースがあります。
廃院などでカルテがない場合であっても、
初診日を合理的に推定できるような一定の書類により、
本人が申し立てた日を初診日と認めることができる場合があります。
具体的に、次の場合には、審査の上、本人の申し立てた初診日が認められます。
- 初診日について第三者(隣人、友人、民生委員など)が証明する書類があり、他にも参考資料が提出された場合
- 初診日が一定の期間にあることを示す参考資料が提出され、保険料納付要件など一定の条件を満たしている場合
※第三者(三親等以内の親族は認められません)による確認項目は、以下の通りです。
- 発症から初診日までの症状の経過
- 初診日頃における日常生活上の支障度合い
- 医療機関の受診契機
- 医師からの療養の指示など受診時の状況
- 初診日頃の受診状況を知り得た状況 など
初診日は、請求人が参考資料等によりできる限り証明をし、
保険者が認定するものとなっています。
当時の診察券やお薬手帳などが残っている場合は、参考資料になる可能性が考えられます。
また、現在の精神科に紹介状が残っている場合は、
有力な参考資料になります。
諦めずに、いま一度参考資料を探してみてはいかがでしょうか。
なお、うつ病の認定基準は、以下の通りです。
うつ病の認定基準
- 1級…高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたは頻繁に繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの
- 2級…気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたは頻繁に繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの
- 3級…気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したりまたは繰り返し、労働に制限を受けるもの
◎障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
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◎社労士への依頼も合わせてご検討ください
審査を受ける機会は審査請求、再審査請求を含めて3回あります。
しかし、1度目の請求で認められない場合、2度目以降で決定が覆るのは、たった14.7%となっています。より確実に認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
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お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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