父が脳梗塞で障害者手帳3級。老齢年金と障害年金のどちらをもらう方が得ですか?

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父が脳梗塞で障害者手帳3級。老齢年金と障害年金のどちらをもらう方が得ですか?

中井智博
中井智博社会保険労務士
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公開日:

私の父は現在63歳ですが、

4年前の59歳の時に脳梗塞を発症、後遺症が残り現在障害者手帳3級です。

右上・下肢に麻痺があり自力歩行はできるものの困難です。

少し話しづらいようで、上手く言葉が出てこないこともあるようです。

父は20歳から自営業をしており、60歳まで年金はきちんと納めておりましたので、

60歳になった時から老齢年金を繰り上げで受給しています。

このような状態で、障害年金がもらえるのですか?

もしもらえるなら、老齢年金と障害年金のどちらをもらう方が得ですか?

本回答は2017年5月時点のものです。

 

脳梗塞のため、右半身麻痺に重い障害が残ったものと推察いたします。

また、少し話しづらくうまく言葉が出てこないとのことですので、

高次脳機能障害による失語症と、言語機能の障害があるとされることも考えられます。

 

脳血管障害など、肢体の障害が上肢及び下肢などの広範囲にわたる障害の場合、

「肢体の機能の障害」として認定されます。

肢体の障害の認定について

肢体の機能の障害の程度は、

関節可動域、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、

日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定されます。

なお、他動可動域による評価が適切ではないものについては、

筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、

日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定されます。

 

半身まひの各等級に相当すると認められるものを一部例示すると、以下の通りです。

半身まひの認定基準

【1級】

  • 一上肢及び一下肢の用を全く廃したもの…日常生活における動作のすべてが「一人で全くできない」又はこれに近い状態

【2級】

  • 一上肢及び一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの…日常生活における動作の多くが「一人で全くできない場合」又は日常生活における動作のほとんどが「一人でできるが非常に不自由な場合」

 

障害年金の対象となる失語症

障害年金の対象となる失語症とは、

大脳の言語野の後天性脳損傷(脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷や脳炎など)により、

一旦獲得された言語機能に障害が生じた状態のものをいいます。

 

失語症の障害の程度の認定について

障害年金の失語症の障害の程度は、

  • 単語の呼称
  • 短文の発話
  • 長文の発話
  • 単語の理解
  • 短文の理解
  • 長文の理解

により判断されます。

音声又は言語機能の障害による認定基準は以下の通りです。

音声又は言語機能の障害の2級の認定基準

【2級】

  • 発音にかかわる機能を喪失するか、話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方がほとんどできないため、日常会話が誰とも成立しないもの

 

一方、身体障害者手帳3級の一下肢と一上肢の状態は以下の通りです。

  • 一下肢を大腿の2分の1以上で欠くもの
  • 一下肢の機能を全廃したもの
  • 一上肢の機能の著しい障害

 

身体障害者手帳と障害年金の関係

身体障害者手帳と障害年金は、

根拠法、認定基準、審査機関の異なる全く別の制度となっています。

そのため両者の等級は対応していません。

しかし、認定基準を照らし合わせると、

障害基礎年金を受給できる可能性も考えられます。

 

お父さまの場合、肢体の障害用の診断書の他に、

精神の障害用の診断書、言語・嚥下障害用の診断書を提出することで、

併合認定により、さらに上位等級に該当する可能性も考えられます。

 

障害年金は原則として65歳の誕生日の2日前までに申請しなければなりません。

65歳以降でも申請できる場合は以下に限られます。

65歳以降でも障害年金を申請できる場合

  1. 初診日が、65歳の2日前までにあり、障害認定日の障害状態が障害等級に該当している場合
  2. 前発傷病と後発傷病を併せて、65歳前にはじめて2級となった場合
  3. 初診日において国民年金の任意加入者であった場合
  4. 初診日において厚生年金加入中であった場合

 

老齢基礎年金を繰上げて請求した場合は、65歳になったとみなして、

事後重症などによる障害基礎年金を請求することができなくなります。

 

お父さまの場合、59歳の時に脳梗塞を発症しており、

60歳で老齢基礎年金を繰上げて受給されているので、

事後重症による障害基礎年金を請求することができません。

障害認定日請求のみ可能となります。

 

事後重症請求とは

傷病により障害の状態にあるものが、

障害認定日(原則として初診日から1年6月経過した日)において

障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなかった場合でも、

その後、状態が悪化し、障害等級に該当する障害の状態となった場合、

65歳に達する日の前日までに裁定請求をすることができます。

これを事後重症請求といいます。

 

障害認定日請求とは

初診日から1年6ヶ月経過した日、又は、

それ以前に傷病が治癒した日である障害認定日時点での診断書を取得し、

その障害認定日から1年以内に請求することを障害認定日請求といいます。

 

脳梗塞などの脳血管疾患の場合の障害認定日は、以下の通りです。

脳血管疾患の障害認定日

脳血管疾患による障害の場合、障害認定日は

  1. 初診日から6か月経過後の症状固定日
  2. 初診日から1年6か月を経過した日

のいずれか早い方の日となります。

 

老齢基礎年金を受給中の方が、障害基礎年金の受給権を得られた場合、

両方併せて受給することはできませんので、

その場合は、どちらか有利な方を選択することになります。

 

老齢基礎年金と障害基礎年金のどちらをもらう方が得かということですが、

単純に受給額のみを比較した場合は、お父さまの場合は障害年金の方が有利になります。

お父さまの場合、障害認定日請求となるため、

認定が得られた場合は、障害認定日からさかのぼって受給することができます。

ただし、老齢年金を繰り上げで受給されているので、さかのぼり分については差額が支給されます。

 

障害基礎年金の受給額は平成29年現在、以下の通りとなっています。

障害基礎年金の受給額(平成29年)

  • 障害基礎年金1級…年974,100円
  • 障害基礎年金2級…年779,300円

※障害基礎年金の受給権者に加算対象となる子がいる場合、子の加算を受けることができます。

 

一方、老齢基礎年金の受給額は、満額であれば年779,300円ですが、

繰上げを請求した場合は、一定の減額率によって計算された年金額が減額され、

生涯減額された年金額を受給することとなります。

 

障害年金は非課税所得となりますが、老齢年金は課税対象となっています。

障害年金は原則として有期認定のため、1〜5年ごとに更新の手続きが必要ですが、

老齢年金にはそのような手続きはありません。

 

障害基礎年金を選択した場合でも、老齢基礎年金の受給権は失権しません。

障害の状態が軽快し、障害等級に該当しなくなった場合は、

老齢基礎年金に選択替えをすることができます。

 

ご質問内容から、障害年金が受給できる可能性も考えられますので、

申請を検討されてはいかがでしょうか。

 

障害年金の申請について

障害の状態によって等級が決まりますが、

提出書類によって、2級相当の状態なのに3級となったり不支給となったり

というケースが数多くあります。

そのため関連書籍をご購入の上、申請されることをお勧めします。

審査のチャンスは審査請求、再審査請求を含めて3回ありますが、

1度目に不支給となると再審査請求で支給が決定するのは14.7%となっています。

慎重にご準備ください。

申請の流れはこちらにて解説していますので、ご参考にしてください。

 

社労士への依頼も合わせてご検討ください

よりスムーズに認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。

私は元厚生労働省の事務官ですので、

役所の論理・理屈を理解しており、これまで90%以上の確率で認定を得ています。

もし社労士への依頼を検討される場合は、こういった点も合わせてお考えください。

疑問などがございましたら、下記お問い合わせフォームからお気軽にご質問ください。

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障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。

煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。

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