父は10年前に遡って障害基礎年金2級をもらうことができるのでしょうか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私の父は10年前から透析患者です。現在は2日の1回透析を受けています。
現在は71歳で、老齢基礎年金をもらっていますが、
自営業だったため厚生年金がなく、非常に厳しい経済状況です。
今まで障害年金のことを知らず、申請はしていませんでした。
透析は2級が認定されると聞きました。
父は10年前に遡って障害基礎年金2級をもらうことができるのでしょうか?
本回答は2019年7月現在のものです。
障害年金は原則として、65歳の誕生日の2日前までに申請しなければなりません。
65歳以降でも申請できる場合は以下に限られます。
65歳以降でも障害年金を申請できる場合
- 初診日が、65歳の2日前までにあり、障害認定日の障害状態が障害等級に該当している場合
- 前発傷病と後発傷病を併せて、65歳前にはじめて2級となった場合
- 初診日において国民年金の任意加入者であった場合
- 初診日において厚生年金加入中であった場合
お父さまの場合、上記1に該当するため、10年前ではなく、
障害認定日に遡って請求することができます。
障害認定日の時点で2級に該当する場合は、障害年金の受給権が発生します。
障害認定日とは
障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 初診日から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
ただし、人工透析療法施行中のものについては、
- 初診日から起算して1年6月を経過した日
- 人工透析療法を初めて受けた日から起算して3月を経過した日
のいずれか早い日となります。
初診日とは
障害の原因となった傷病について、
初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
具体的には次のような場合が初診日とされます。
- 初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)
- 同一の傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日
- 過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
- 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
- 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日
※ただし、知的障害の場合は、出生日が初診日となります。
腎疾患の認定基準
【1級】
- 以下1〜2を満たすもの
- 内因性クレアチニンクリアランスが10ml/分未満または、血清クレアチニンが8mg/dl以上
- 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの
【2級】
- 以下1〜2を満たすもの
- 内因性クレアチニンクリアランスが10ml/分以上20ml/分未満または、血清クレアチニンが5mg/dl以上8mg/dl未満
- 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの、または、身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の 50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
- 人工透析療法施行中のもの
【3級】
- 以下1〜2を満たすもの
- 内因性クレアチニンクリアランスが20ml/分以上30ml/分未満または、血清クレアチニンが3mg/dl以上5mg/dl未満
- 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの、または、軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの
- 以下1〜3を満たすもの
- 尿蛋白量が3.5以上を持続する
- 血清アルブミンが3.0g/dl以下または血清総蛋白が6.0g/dl以下
- 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの、または、軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの
お父さまの場合、
障害認定日の時点で人工透析をしている場合は2級が認定されますが、
人工透析をしていない場合は、腎疾患の状態について審査されます。
2級に該当すると判断された場合は、受給権が発生しますが、
該当しない場合は、障害年金の受給権は発生しません。
仮に認定が得られたとしても、
年金を受け取る権利は、権利が発生してから5年を経過すると時効消滅します。
そのため、障害認定日の時点で認定が得られたとしても、
実際に支給を受けることが出来るのは、時効消滅していない直近の5年分となります。
お父さまの場合、5年前はすでに老齢基礎年金を受給していることが拝察されますが、
老齢基礎年金と障害基礎年金は併給することができません。
どちらか有利な方を選択することになります。
そのため遡って認定が得られて、障害基礎年金を受給することとしたとしても、
すでに受給済みの老齢基礎年金分については返金することになります。
これらのことを踏まえ、障害年金の申請についてご検討されてはいかがでしょうか。
◎障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
当サイトでは1分で障害年金をもらえるか、カンタン査定をいたします。
◎社労士への依頼も合わせてご検討ください
審査を受ける機会は審査請求、再審査請求を含めて3回あります。
しかし、1度目の請求で認められない場合、2度目以降で決定が覆るのは、たった14.7%となっています。より確実に認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
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障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
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お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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