障害厚生年金では、人工股関節の手術となった場合、初診日からの期限はあるのでしょうか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
-
私は両股関節変形関節症と診断されて、会社を退職しました。
進行期なので、いずれは人工股関節の手術をすることになると言われました。
手術をすると、障害厚生年金3級の申請の対象になると聞いたのですが、
万が一、病状の進行を抑えることができ、10年後に手術となった場合など、
初診日からの期限はあるのでしょうか?
本回答は2019年6月現在のものです。
障害年金の事後重症請求は、原則として65歳までに行なう必要があります。
事後重症請求とは
傷病により障害の状態にあるものが、障害認定日において
障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなかった場合でも、
その後、状態が悪化し、障害等級に該当する障害の状態となった場合、
65歳に達する日の前日までに裁定請求をすることができます。
これを事後重症請求といいます。
人工関節をそう入置換したものは、原則として3級と認定されますが、
人工関節ではなくても、下肢の状態が等級に相当する場合、
認定が得られることがあります。
下肢の障害の認定基準
【1級】
- 両下肢の機能に著しい障害を有するもの…両下肢の3大関節中それぞれ2関節以上の関節が全く用を廃したもの
【2級】
- 両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの、例えば、両下肢の3大関節中それぞれ1関節の他動可動域が、「肢体の障害関係の測定方法」による参考可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの
- 一下肢の用を全く廃したもの…一下肢の3大関節中いずれか2関節以上の関節が全く用を廃したもの
- 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
※日常生活における動作と身体機能との関連は、厳密に区別することはできませんが、
おおむね次の通りとされています。
【下肢の機能】
- 片足で立つ
- 歩く(屋内)
- 歩く(屋外)
- 立ち上がる
- 階段を上る
- 階段を下りる
また、人工関節で以下の要件をすべて満たした場合、2級に認定されます。
両下肢に人工骨頭または人工関節をそう入置換した場合
両下肢の3大関節のうち1関節にそれぞれ人工骨頭または人工関節の
そう入置換手術を行った場合の障害認定については、
以下の要件のすべてを満たした場合には、2級以上に認定することとされています。
- 立ち上がる、歩く、片足で立つ、階段を登る、階段を下りるなどの日常生活動作が、実用性に乏しいほど制限されていること。例えば、日常生活動作の多くが一人で全くできないか、または必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、非常に困難であること。
- 下肢障害の主な原因および程度評価の根拠が、自覚症状としての疼痛のみによるものではなく、医学的、客観的にその障害を生ずるに妥当なものであること。
- 下肢の障害の状態が、行動量、気候、季節などの外的要因により一時的に大きく変動するものではなく、永続性を有すること。
上記の認定基準を参考にしていただき、申請をご検討されてはいかがでしょうか。
◎障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
当サイトでは1分で障害年金をもらえるか、カンタン査定をいたします。
◎社労士への依頼も合わせてご検討ください
審査を受ける機会は審査請求、再審査請求を含めて3回あります。
しかし、1度目の請求で認められない場合、2度目以降で決定が覆るのは、たった14.7%となっています。より確実に認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
こちらも合わせてご検討ください。疑問などがございましたら、下記よりお気軽にお問い合わせください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
転院に関するその他のQ&A
- 最初の病院では統合失調症、現在の病院では広汎性発達障害ですが、初診日は現在の病院の初診日ですか?
- 私は現在精神障害で精神科に通院しています。初診日から1年6か月経つのですが、最初に診てもらった病院と今の病院が違います。最初の病院では統合失調症と診断されていましたが、現在の病院では広汎性発達障害と診断されています。この場合、初診日は現在の病院の初診日ですか?そうするとまだ1年6か月経っていないので申請はできないのでしょうか?
- 転院のたびに診断名が変わっていますが、障害年金は受給できますか?
- 私は17歳から精神科に通っている現在28歳女性です。昨年まで一度も休職せず働いていたのですが、病状が悪化し退職しました。今は傷病手当金をいただき、それが終わったら失業保険をあてにしていますが、それもいずれ終了するので、障害年金の受給を検討しています。何度か転院しており、そのたびの診断名が変わっています。始めは不安障害、次に境界性パーソナリティ障害、適応障害、そして昨年からは双極性障害です。私は障害年金が受給できますか?5年分の遡りももらえるのでしょうか?
- 障害年金の不服申し立てをするには、最初の病院の診断書が必要ですか?転院した病院の診断書が必要ですか?
- 先日、うつ病で障害基礎年金の申請を行い、現在審査待ちの状態ですが、夫と離婚することになり、実家に戻ることになりました。それに伴って病院も変わる予定なのですが、もし障害年金の申請が不支給だった場合、不服申し立てをするには最初の病院の診断書が必要になりますか?それとも転院した病院で新たに診断書が必要になりますか?
- 昔から病気を患っていて転院が多い人の方が障害年金が通りにくいというのはなぜですか?
- 病歴が浅くて一つのクリニックしか行っていない人の方が障害年金が通りやすくて、昔から病気を患っていて転院が多い人の方が通りにくいというのはなぜですか?何年も辛い思いをしているのに、医師や役所からも教えてもらえず、気が付いた時には時期が遅くて申請が通らないというのは理不尽なように思います。
- 半年前に父が脳出血で倒れました。父は障害年金がもらえるのでしょうか?
- 半年前に父が脳出血で倒れました。今はリハビリの病院に転院しています。父はトレーラーの運転手でしたが、手足の麻痺と高次脳機能障害があり、仕事に戻れるかわかりません。年齢は50代後半で、老齢年金がもらえる年齢でもありません。会社の保険には入っていたので、今は給料の半分くらいの収入がありますが、それもあと1年くらいで終了するようで、それ以外の生命保険などには入っていないので、無収入になります。会社の方に障害年金がもらえるかもしれないと言われたのですが、父は障害年金がもらえるのでしょうか?