身体障害者手帳の診断書で障害年金の申請ができるでしょうか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
-
私の父は2年前に脳出血を起こし、右半身に麻痺が残りました。
身体障害者手帳は上肢3級、下肢4級で併せて2級の手帳が交付されています。
症状は固定されており、手帳の再認定は不要となっています。
その時の診断書の写しを持っているのですが、これで障害年金の申請ができるでしょうか?
また、父は長年自営で造園業を営んでいたので国民年金なのですが、障害年金を受けることができるでしょうか?
本回答は2020年3月現在のものです。
身体障害者手帳の診断書で障害年金の申請をすることはできません。
障害年金の申請をする際は、障害年金用の診断書を取得する必要があります。
お父さまの場合、右半身に麻痺が残ったとのことですので、肢体の障害用の診断書を取得します。
初診日の時点で国民年金に加入している場合は、障害基礎年金の申請になるため、障害の状態が2級以上に該当すると判断された場合、支給を受けることが可能となります。
初診日とは
障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
具体的には次のような場合が初診日とされます。
- 初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)
- 同一の傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日
- 過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
- 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
- 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日
※ただし、知的障害の場合は、出生日が初診日となります。
障害厚生年金か障害基礎年金か
障害厚生年金を受給できるか、障害基礎年金の受給となるかは、初診日に加入していた年金制度によって決まります。
- 初診日が厚生年金被保険者期間中にある場合は、障害厚生年金
- 初診日が国民年金被保険者期間中にある場合は、障害基礎年金
- 初診日が20歳前または60歳以上65歳未満(国内に住んでいる方のみ)の年金未加入期間にある場合は、障害基礎年金
障害基礎年金と障害厚生年金の障害等級について
- 障害基礎年金…1級および2級
- 障害厚生年金…1級、2級および3級
肢体の障害の認定について
肢体の機能の障害の程度は、関節可動域、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定されます。
各等級に相当すると認められるものを一部例示すると、以下の通りです。
半身まひの認定基準
【1級】
- 一上肢及び一下肢の用を全く廃したもの…日常生活における動作のすべてが「一人で全くできない場合」又はこれに近い状態
【2級】
- 一上肢及び一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの…日常生活における動作の多くが「一人で全くできない場合」又は日常生活における動作のほとんどが「一人でできるが非常に不自由な場合」
【3級】
- 一上肢及び一下肢に機能障害を残すもの…日常生活における動作の一部が「一人で全くできない場合」又はほとんどが「一人でできてもやや不自由な場合」
※日常生活における動作と身体機能との関連は、厳密に区別することはできませんが、おおむね次の通りとされています。
【手指の機能】
- つまむ(新聞紙が引き抜けない程度)
- 握る(丸めた週刊誌が引き抜けない程度)
- タオルを絞る(水を切れる程度)
- ひもを結ぶ
【上肢の機能】
- さじで食事をする
- 顔を洗う(顔に手のひらをつける)
- 用便の処置をする(ズボンの前のところに手をやる)
- 用便の処置をする(尻のところに手をやる)
- 上衣の着脱(かぶりシャツを着て脱ぐ)
- 上衣の着脱(ワイシャツを着てボタンをとめる)
【下肢の機能】
- 片足で立つ
- 歩く(屋内)
- 歩く(屋外)
- 立ち上がる
- 階段を上る
- 階段を下りる
ご質問内容からは、具体的な筋力等が分かりかねますが、身体障害者手帳の等級は上肢3級、下肢4級とのことですので、障害年金2級が認定される可能性も考えられます。
上記の認定基準を参考にしていただき、申請をご検討されてはいかがでしょうか。
◎障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
当サイトでは1分で障害年金をもらえるか、カンタン査定をいたします。
◎社労士への依頼も合わせてご検討ください
審査を受ける機会は審査請求、再審査請求を含めて3回あります。
しかし、1度目の請求で認められない場合、2度目以降で決定が覆るのは、たった14.7%となっています。より確実に認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
こちらも合わせてご検討ください。疑問などがございましたら、下記よりお気軽にお問い合わせください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
転院に関するその他のQ&A
- 最初の病院では統合失調症、現在の病院では広汎性発達障害ですが、初診日は現在の病院の初診日ですか?
- 私は現在精神障害で精神科に通院しています。初診日から1年6か月経つのですが、最初に診てもらった病院と今の病院が違います。最初の病院では統合失調症と診断されていましたが、現在の病院では広汎性発達障害と診断されています。この場合、初診日は現在の病院の初診日ですか?そうするとまだ1年6か月経っていないので申請はできないのでしょうか?
- 転院のたびに診断名が変わっていますが、障害年金は受給できますか?
- 私は17歳から精神科に通っている現在28歳女性です。昨年まで一度も休職せず働いていたのですが、病状が悪化し退職しました。今は傷病手当金をいただき、それが終わったら失業保険をあてにしていますが、それもいずれ終了するので、障害年金の受給を検討しています。何度か転院しており、そのたびの診断名が変わっています。始めは不安障害、次に境界性パーソナリティ障害、適応障害、そして昨年からは双極性障害です。私は障害年金が受給できますか?5年分の遡りももらえるのでしょうか?
- 障害年金の不服申し立てをするには、最初の病院の診断書が必要ですか?転院した病院の診断書が必要ですか?
- 先日、うつ病で障害基礎年金の申請を行い、現在審査待ちの状態ですが、夫と離婚することになり、実家に戻ることになりました。それに伴って病院も変わる予定なのですが、もし障害年金の申請が不支給だった場合、不服申し立てをするには最初の病院の診断書が必要になりますか?それとも転院した病院で新たに診断書が必要になりますか?
- 昔から病気を患っていて転院が多い人の方が障害年金が通りにくいというのはなぜですか?
- 病歴が浅くて一つのクリニックしか行っていない人の方が障害年金が通りやすくて、昔から病気を患っていて転院が多い人の方が通りにくいというのはなぜですか?何年も辛い思いをしているのに、医師や役所からも教えてもらえず、気が付いた時には時期が遅くて申請が通らないというのは理不尽なように思います。
- 半年前に父が脳出血で倒れました。父は障害年金がもらえるのでしょうか?
- 半年前に父が脳出血で倒れました。今はリハビリの病院に転院しています。父はトレーラーの運転手でしたが、手足の麻痺と高次脳機能障害があり、仕事に戻れるかわかりません。年齢は50代後半で、老齢年金がもらえる年齢でもありません。会社の保険には入っていたので、今は給料の半分くらいの収入がありますが、それもあと1年くらいで終了するようで、それ以外の生命保険などには入っていないので、無収入になります。会社の方に障害年金がもらえるかもしれないと言われたのですが、父は障害年金がもらえるのでしょうか?