救急搬送された病院のカルテがなく初診日を証明するものがないと、障害厚生年金の申請は不可能でしょうか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私は10年前に大動脈解離で救急搬送されました。
その翌日に現在通院している病院に転院し、人工血管となりました。
今回障害厚生年金の申請をしようと思うのですが、
救急搬送された病院のカルテはないと言われました。
初診日を証明するものが全くない状態なのですが、
この場合は申請そのものが不可能でしょうか?
本回答は2019年10月現在のものです。
ご質問内容から、
現在の病院のカルテには救急搬送されたことが記載されている可能性が考えられます。
その場合、初診日の証明ができる可能性が考えられます。
また、カルテに救急搬送についての記載がない場合でも、
救急搬送された日と現在の病院の初診日は一日違いであり、
どちらも厚生年金加入期間中であれば、障害厚生年金の申請が認められる可能性が考えられます。
初診日とは
障害の原因となった傷病について、
初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
具体的には次のような場合が初診日とされます。
- 初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)
- 同一の傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日
- 過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
- 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
- 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日
※ただし、知的障害の場合は、出生日が初診日となります。
障害厚生年金か障害基礎年金か
障害厚生年金を受給できるか、障害基礎年金の受給となるかは、
初診日に加入していた年金制度によって決まります。
- 初診日が厚生年金被保険者期間中にある場合は、障害厚生年金
- 初診日が国民年金被保険者期間中にある場合は、障害基礎年金
- 初診日が20歳前または60歳以上65歳未満(国内に住んでいる方のみ)の年金未加入期間にある場合は、障害基礎年金
障害基礎年金と障害厚生年金の障害等級について
- 障害基礎年金…1級および2級
- 障害厚生年金…1級、2級および3級
大動脈疾患の場合、次のいずれかを満たすものは、原則として3級と認定されます。
10年前に救急搬送された時点で厚生年金に加入していれば、3級が認定される可能性が考えられます。
初診日を確認し、申請をご検討されてはいかがでしょうか。
大動脈疾患の障害年金
- 胸部大動脈解離(Stanford分類A型・B型)や胸部大動脈瘤により、人工血管を挿入し、かつ、歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの、または軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの
- 胸部大動脈解離や胸部大動脈瘤(胸腹部大動脈瘤も含む)に、難治性の高血圧を合併したもの
※大動脈疾患に関連した合併症(周辺臓器への圧迫症状など)の程度や手術の後遺症によっては、さらに上位等級に認定する。
※難治性高血圧とは、塩分制限などの生活習慣の修正を行った上で、適切な薬剤3薬以上の降圧薬を適切な要領で継続投与しても、なお、収縮期血圧が140mmHg以上又は拡張期血圧が90mmHg以上のもの。
◎障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
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◎社労士への依頼も合わせてご検討ください
審査を受ける機会は審査請求、再審査請求を含めて3回あります。
しかし、1度目の請求で認められない場合、2度目以降で決定が覆るのは、たった14.7%となっています。より確実に認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
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どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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