障害厚生年金の申請時期と第三者行為による、損害賠償額と障害厚生年金額との調整について

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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障害厚生年金の申請は、通常、初診日から一年半後と聞きます。
しかし症状固定が一年半を待たずに到来し、
さらに第三者行為による障害の場合一年半を経たずに、申請可能としますが、
この場合、症例にも拠りますが、関節可動域が問題となる場合、
認定される確率は一年半後の申請に比べ、かなり難しいと聞きます。
また、初診日から三年経過後の障害厚生年金の申請は、
第三者行為による障害の場合、
国が被害者から代位取得した損害賠償権の加害者に対する求償そのものが時効消滅し、
損害賠償額と障害厚生年金額との調整が図られないと聞きました。
言い換えれば、
被害者にとっては、損害賠償額と、認定された障害厚生年金額の満額の二重所得となるという結果なのでしょうか?
- 上の理解で正しいのでしょうか?
- やはり、障害厚生年金の申請は、一年半後にするのが、確実な認定受給権獲得の面からもベストなのでしょうか?
- 初診日から三年後の申請は、国側の求償権そのものの時効の関係で、認定された障害厚生年金額と損害賠償額との調整の問題は発生しないという事なのでしょうか?それとも、やはり手当金、三級、二級、一級に減額調整が加えれるのでし ょうか?
以上です。
労災適応事案ではなく、また、傷病手当金等の無支給が前提です。
ベストな手順をご教授下されば幸いです。
本回答は2017年8月時点のものです。
障害年金は、障害認定日が到来すれば申請することができます。
障害認定日とは
障害認定日とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 請求する傷病の初診日から起算して1年6月を経過した日
- 請求する傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
症状固定があった場合は初診日から1年6月の経過を待たずとも、
症状固定日が障害認定日となりますので、
障害年金を申請することができます。
これについて、第三者行為の場合に特別な扱いをされることはありません。
上記の原則通り、障害認定日の到来を待って申請することとなります。
また、加害者からの損害賠償を受け、年金との調整が行われる場合には、
事故日の翌月から起算して最長36月の範囲内で障害年金の支給停止が行われます。
しかし、これは求償権の時効消滅ではありません。
初診日(第三者行為日)から3年以上経過した後に、事後重症請求をした場合は、
損害賠償との調整は行われませんが、
3年経過後に認定日請求をし、初診日から1年6月後の状態の審査を受けた場合、
調整が行われる可能性が考えられます。
また、必ず36月間支給停止となるものではなく、「最長で36月」とされています。
障害年金は、受給できる可能性が考えられるのであれば、
申請を検討されてはいかがでしょうか。
損害賠償額の確定には1年6月以上かかるケースもあります。
損害賠償額の確定や調整の有無を考えて申請を遅らせるのではなく、
申請ができる状態であれば申請をし、受給権を得た上で調整を受けられた方が、
受給が遅れることがありません。
障害年金の申請について
障害の状態によって等級が決まりますが、
提出書類によって、2級相当なのに3級となったり不支給となったりというケースが
数多くあります。
そのため関連書籍をご購入の上、申請されることをお勧めします。
また、障害の種類や県によっては支給率が44%(2012年)しかありません。
申請のチャンスは審査請求、再審査請求と3回ありますが、
1度目に失敗すると再審査請求で支給が決定するのは14.7%です。
慎重にご準備ください。
申請の流れはこちらにて解説していますので、ご参考にしてください。
社労士への依頼も合わせてご検討ください
疑問などがございましたら、下記お問い合わせフォームからお気軽にご質問ください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
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06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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- 障害厚生年金の申請時期と第三者行為による、損害賠償額と障害厚生年金額との調整について
- 障害厚生年金の申請は、通常、初診日から一年半後と聞きます。しかし症状固定が一年半を待たずに到来し、さらに第三者行為による障害の場合一年半を経たずに、申請可能としますが、この場合、症例にも拠りますが、関節可動域が問題となる場合、認定される確率は一年半後の申請に比べ、かなり難しいと聞きます。 また、初診日から三年経過後の障害厚生年金の申請は、第三者行為による障害の場合、国が被害者から代位取得した損害賠償権の加害者に対する求償そのものが時効消滅し、損害賠償額と障害厚生年金額との調整が図られないと聞きました。言い換えれば、被害者にとっては、損害賠償額と、認定された障害厚生年金額の満額の二重所得となるという結果なのでしょうか? 上の理解で正しいのでしょうか? やはり、障害厚生年金の申請は、一年半後にするのが、確実な認定受給権獲得の面からもベストなのでしょうか? 初診日から三年後の申請は、国側の求償権そのものの時効の関係で、認定された障害厚生年金額と損害賠償額との調整の問題は発生しないという事なのでしょうか?それとも、やはり手当金、三級、二級、一級に減額調整が加えれるのでしょうか?以上です。労災適応事案ではなく、また、傷病手当金等の無支給が前提です。ベストな手順をご教授下されば幸いです。