音の聞こえが中度で障害者手帳4級程度になると言われたのですが、障害年金ももらえますか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私は5歳の頃に難聴が分かり耳鼻科に通院していましたが、
「治らない」と言われて補聴器をつけていましたが、通院はしませんでした。
ところが30代になって急に聞こえが悪くなり検査を受けると、
音の聞こえが中度で語音明瞭度が悪いと言われました。
障害者手帳4級程度になると言われたのですが、障害年金ももらえますか?
また初診の時期がいつになるかわからないのですが、
もし子供の頃ならカルテが残ってない場合どうすれば良いですか?
本回答は2019年6月現在のものです。
身体障害者手帳の聴覚障害4級の程度は、
- 両耳の聴力レベルがそれぞれ80デシベル以上のもの(耳介に接しなければ話声語を理解し得ないもの)
- 両耳による普通話声の最良の語音明瞭度が50パーセント以下のもの
となっているため、
下記の障害認定基準に照らし合わせると、障害年金3級に相当することが考えられます。
障害年金の聴覚障害の認定基準
【1級】
- 両耳の聴力レベルが100デジベル以上のもの
【2級】
- 両耳の聴力レベルが90デジベル以上のもの
- 両耳の平均純音聴力レベル値が80デジベル以上で、かつ、最良語音明瞭度が30%以下のもの
【3級】
- 両耳の平均純音聴力レベル値が70デジベル以上のもの
- 両耳の平均純音聴力レベル値が50デジベル以上で、かつ、最良語音明瞭度が50%以下のもの
- 一耳の平均純音聴力レベル値が80デジベル以上で、かつ、症状が固定していないもの
3級は厚生年金にしかない等級のため、
障害厚生年金の申請であれば認定を得ることができますが、
障害基礎年金の申請では、認定を得ることができません。
障害厚生年金か障害基礎年金か
障害厚生年金を受給できるか、障害基礎年金の受給となるかは、
初診日に加入していた年金制度によって決まります。
- 初診日が厚生年金被保険者期間中にある場合は、障害厚生年金
- 初診日が国民年金被保険者期間中にある場合は、障害基礎年金
- 初診日が20歳前または60歳以上65歳未満(国内に住んでいる方のみ)の年金未加入期間にある場合は、障害基礎年金
初診日とは
初診日とは、障害の原因となった傷病について、
初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
具体的には次のような場合が初診日とされます。
- 初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)
- 同一の傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日
- 過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
- 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
- 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日
※ただし、知的障害の場合は、出生日が初診日となります。
ご質問内容から、5歳時の頃の難聴と現在の悪化が同一傷病または相当因果関係がある場合は、
初診日は20歳前となり、20歳前傷病の障害基礎年金の申請となります。
20歳前傷病の障害基礎年金とは
先天性の病気などにより20歳前から障害があり、
初診日が、20歳前(年金制度に加入していない期間)にあり、かつ、
障害の状態が認定基準に該当する場合には、障害基礎年金を受けることができます。
等級は1級と2級があり、障害の程度によって決められます。
ご質問内容からは、正確な聴力レベルがわかりかねますが、
障害者手帳4級程度の場合は、障害基礎年金の認定を得ることは難しいでしょう。
次に、初診日がわからないとのことですが、
障害年金は、カルテが残っていないなどの理由で初診日の特定ができない場合は、
認定を得ることができない場合があります。
しかし、カルテがない場合であっても、
初診日を合理的に推定できるような一定の書類により、
本人が申し立てた日を初診日と認めることができる場合があります。
具体的に、次の場合には、審査の上、本人の申し立てた初診日が認められます。
- 初診日について第三者(隣人、友人、民生委員など)が証明する書類があり、他にも参考資料が提出された場合
- 初診日が一定の期間にあることを示す参考資料が提出され、保険料納付要件など一定の条件を満たしている場合
※第三者(三親等以内の親族は認められません)による確認項目は、以下の通りです。
- 発症から初診日までの症状の経過
- 初診日頃における日常生活上の支障度合い
- 医療機関の受診契機
- 医師からの療養の指示など受診時の状況
- 初診日頃の受診状況を知り得た状況 など
初診日は、請求人が参考資料等によりできる限り証明をし、
保険者が認定するものとなっています。
当時の診察券が残っていたり、補聴器をつけていたことが記録に残っている場合は、
参考資料になる可能性が考えられます。
いま一度参考資料を探してみてはいかがでしょうか。
◎障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
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◎社労士への依頼も合わせてご検討ください
審査を受ける機会は審査請求、再審査請求を含めて3回あります。
しかし、1度目の請求で認められない場合、2度目以降で決定が覆るのは、たった14.7%となっています。より確実に認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
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06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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