脳脊髄液減少症で障害年金をさかのぼってもらうには、どのように手続きをすればよいでしょうか。

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
-
私は7年前に脳脊髄液減少症を発症しました。
最初は原因不明の頭痛があり、しばらく内科に通いましたが診断名は特定されませんでした。
半年くらい経って大きな病院を紹介され、ようやく病名が分かり、それから現在まで治療を続けています。
当時は一般企業に勤めていましたが、休職期間を経て退職。
現在は自営で細々と生活しています。
最近になって障害年金がもらえることを知りました。
5年分をさかのぼってもらえるそうですが、どのように手続きをすればよいでしょうか。
本回答は2021年4月現在のものです。
障害年金の請求手続きにあたって、まずは「初診日」の特定を行いましょう。
初診日とは
障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
具体的には次のような場合が初診日とされます。
- 初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)
- 同一の傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日
- 過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
- 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
- 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日
※ただし、知的障害の場合は、出生日が初診日となります。
ご質問者様の場合、最初は原因不明の頭痛があり、しばらく内科に通ったとのことですので、頭痛のために内科に初めて受診した日が初診日になる可能性が考えられます。
内科で初診日の証明書(受診状況等証明書)を作成していただきましょう。
次に、初診日の時点で「保険料納付要件」を満たしているかについて、年金事務所で確認しましょう。
保険料納付要件とは
初診日の前日において以下の1または2を満たしている必要があります。
- 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
※ただし、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件はありません。
そして、「障害認定日」時点の診断書を作成してもらいましょう。
その時点の障害の状態が認定基準に該当する程度と判断された場合、さかのぼってもらうことができます。
なお、障害認定日から1年以上経過しているため、現在の診断書も必要です。
障害認定日とは
障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 初診日から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
脳脊髄液減少症の認定基準について
【1級】
- 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの、たとえば、障害の程度は、閉眼での起立・立位保持が不可能であり、開眼での直線10メートル歩行が困難である。また、全身の痛みがひどく心身ともに疲弊しており、日常生活動作が一人で全くできない、又は一人でできるが非常に不自由な状態で、ほとんど介助を要する状態で、日中の大半を臥床して過ごしているもの
【2級】
- 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの、たとえば、障害の程度は、閉眼での起立・立位保持が不可能であり、開眼での直線10メートル歩行が困難である。また、頭痛やめまいをはじめとする多様な症状のため、日常生活動作が一人でできてもやや不自由、又は一人でできるが非常に不自由な状態であり、外出も困難で労働能力はないもの
【3級】
- 労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの、たとえば、閉眼での起立・立位保持が不安定で、開眼での直線10メートル歩行に支障がある。また、頭痛や上背部痛などの多様な症状のため、日常生活動作の大半が一人でできてもやや不自由な状態であり、労働能力が大幅に低下しているもの
※脳脊髄液減少症については、日中(起床から就床まで)の臥床時間が重要となります。診断書に、日中の臥床時間を明記していただきましょう。
このように、障害年金の受給要件を確認し、必要書類をそろえることができれば請求手続きが可能となります。
これらを参考にしていただき、申請をご検討されてはいかがでしょうか。
障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
当サイトでは1分で障害年金をもらえるか、カンタン査定をいたします。
◎社労士への依頼も合わせてご検討ください
審査を受ける機会は審査請求、再審査請求を含めて3回あります。
しかし、1度目の請求で認められない場合、2度目以降で決定が覆るのは、たった14.7%となっています。より確実に認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
こちらも合わせてご検討ください。疑問などがございましたら、下記よりお気軽にお問い合わせください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
脳脊髄液減少症に関するその他のQ&A
- 脳脊髄液減少症で就職活動もできません。障害年金はもらえるのですか?
- めまいや吐き気がありずっと体がだるく、次第に動くことができなくなり、あちこちの病院で診察を受けました。しかし原因が分からず、散々病院をまわり、結果、脳脊髄液減少症と診断されました。手術も受けましたが、それでも体のだるさは取れず、今も寝ていることが多い状態です。まだ20歳なのに就職活動すらできません。こんな病気でも障害年金はもらえるのですか?
- 強い倦怠感やめまい、頭痛があり、働くことができません。障害基礎年金は受給できるのでしょうか。
- 私は小学生の頃に転倒して強く頭をぶつけてしまい、脳脊髄液減少症を発症しました。その時はすぐには診断されず、数年たってから脳脊髄液減少症と診断されました。まもなく20歳になりますが、強い倦怠感やめまい、頭痛があり、働くことができません。体調のいい時でも一人で外出することは難しく、また長時間の外出もできません。体調の悪い時はベッドから起きられず、何日も寝込んでしまいます。このような状態ですが、障害基礎年金というのは受給できるのでしょうか。
- 先月に脳脊髄液減少症の病名が確定したばかりなので、まだ障害年金の申請はできないのでしょうか。
- 私はちょうど1年6か月前に事故に遭いました。肩や首の痛みなどがあったので整形外科に通っていましたが、頭痛などもひどく倦怠感もあり、精神的なものだとも言われて結局整形外科の通院もやめていました。最近になり、脳脊髄液減少症という病気があることを知り、総合病院を受診し、その病であることがわかりました。これから治療にお金がかかりますし、仕事も以前のようにはできないため経済的に困っています。障害年金を申請したいのですが、先月病名が確定したばかりなので、まだ申請はできないのでしょうか。
- 脳脊髄液減少症で障害厚生年金はいくらぐらいもらえるのでしょうか。
- 私の夫は2年前に交通事故に遭い、頭がい骨骨折で急性硬膜外出血のため脳脊髄液減少症という後遺症に悩まされています。勤めていた会社は退職を余儀なくされ、今は退職金で生活をしのいでいますが、いつまでも続きません。この障害で障害厚生年金を受給することはできるでしょうか。また、小学生と中学生の子供が2人いますが、年金額はいくらぐらいもらえるのでしょうか。
- 障害基礎年金の更新があるのですが、脳脊髄液減少症のことも書いてもらえば1級になりますか?
- 私は5年前から統合失調症で障害基礎年金2級を受給しています。去年に交通事故に遭い、脳脊髄液減少症になったのですが、この病気も障害年金の対象と知りました。今年、障害基礎年金の更新があるのですが、脳脊髄液減少症のことも書いてもらえば1級になりますか?