障害年金の申請について、パワハラによるうつ病は第三者行為になるのですか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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重度のうつ病エピソードです。
8年勤めてきた会社で、1年ほど前から急にパワハラを受けるようになりました。
そのせいでうつ病になり、退職に追い込まれたので労災の申請をしようと動いています。
障害年金の申請も考えているのですが、これは第三者行為になるのですか?
本回答は2020年1月現在のものです。
パワーハラスメントによりうつ病を発症したとのことですので、
第三者行為に該当する可能性が考えられます。
第三者行為によるものであっても、障害年金の請求は通常どおり行います。
初診日の特定や保険料納付要件を確認し、障害認定日の到来を待って請求します。
障害の状態が認定基準に該当する程度であれば、認定が得られる可能性が考えられます。
初診日とは
初診日とは、障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
具体的には次のような場合が初診日とされます。
- 初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)
- 同一の傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日
- 過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
- 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
- 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日
※ただし、知的障害の場合は、出生日が初診日となります。
「保険料納付要件」とは
初診日の前日において以下の1または2を満たしている必要があります。
- 初診日の属する月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納期間がないこと
※20歳前に初診日がある場合は、保険料納付要件は問われません。
障害認定日とは
障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 初診日から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
うつ病の認定基準
- 1級…高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたは頻繁に繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの
- 2級…気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたは頻繁に繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの
- 3級…気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したりまたは繰り返し、労働に制限を受けるもの
ご質問者様の場合、1年前からパワハラを受けるようになったとのことですので、
障害認定日が到来していない可能性も考えられます。
上記の要件を確認し、申請をご検討されてはいかがでしょうか。
なお、第三者行為により相手方より損害賠償金を受ける場合は、以下の調整が行われます。
また、労働者災害補償法に基づく給付と障害年金の両方を受けることができることとなった場合、併給調整されることとなります。
障害の原因が第三者行為による場合
障害年金の支給原因となった事故が第三者によって引き起こされた場合、
受給権者が障害給付と損害賠償を重複受給することを避けるため、調整されます。
障害年金の受給権者が加害者から損害賠償を受けた場合、
事故日の翌月から起算して、最長36月の範囲内で支給停止が行われます。
この36か月は「最長36か月の範囲内」とされています。
過失割合などで減額された場合は、短くなることもあります。
なお、調整の対象となるのは損害賠償金の全額ではなく、生活保障費相当額(逸失利益)のみが対象となります。
労災給付と障害年金の併給調整について
公的保険の保険給付は原則として「同一事由につき一保障」とされています。
労災保険の以下の給付を受けることができる場合、
国民年金法、厚生年金法に基づく障害年金は満額支給され、
労災保険に基づく給付が、一定の調整率を乗じた額を減額支給されます。
- 休業(補償)給付
- 傷病(補償)年金
- 障害(補償)年金
- 遺族(補償)年金
◎障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
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審査を受ける機会は審査請求、再審査請求を含めて3回あります。
しかし、1度目の請求で認められない場合、2度目以降で決定が覆るのは、たった14.7%となっています。より確実に認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
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平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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