洞不全症候群です。まだペースメーカーを入れていませんが、障害年金は支給されませんか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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洞不全症候群です。
ペースメーカーを入れたら、厚生年金だったら障害年金が支給されると聞きました。
私はまだペースメーカーを入れていません。
これでは障害年金は支給されませんか?
確かに、ペースメーカーを装着した場合は、原則として障害厚生年金3級に該当します。
しかし、ペースメーカーを装着していなければ、障害年金を受給できない、というものではありません。
ペースメーカーを装着していなかったとしても、障害年金の等級に該当すると判断されれば、障害年金を受給することができます。
洞不全症候群のため不整脈等の症状がある場合、どのような状態なら障害年金を受給できるか確認しましょう。
難治性不整脈の認定基準
障害の等級
障害の状態
1級
〇以下2点を満たすもの
- 病状(障害)が重篤で安静時においても、心不全の症状(NYHA心機能分類クラス4)を有する
- 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの
2級
〇以下2点を満たすもの
- 異常検査所見のEがある
- 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの、または、身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の 50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
〇以下3点を満たすもの
- 異常検査所見のA,B,C,D,F,Gのうち 2つ以上
- 病状をあらわす臨床所見が5つ以上
- 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの、または、身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の 50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
3級
※障害厚生年金のみ
〇ペースメーカー、ICDを装着したもの
〇以下3点を満たすもの
- 異常検査所見のA,B,C,D,F,Gのうち 1つ以上
- 病状をあらわす臨床所見が1つ以上
- 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの、または、歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの
心疾患の検査での異常検査所見は以下の通りです。
区分
異常検査所見
A
安静時の心電図において、0.2mV以上のSTの低下もしくは 0.5mV以上の深い陰性T波(aVR誘導を除く。)の所見のあるもの
B
負荷心電図(6Mets 未満相当)等で明らかな心筋虚血所見があるもの
C
胸部X線上で心胸郭係数 60%以上又は明らかな肺静脈性うっ血所見や間質性肺水腫のあるもの
D
心エコー図で中等度以上の左室肥大と心拡大、弁膜症、収縮能の低下、拡張能の制限、先天性異常のあるもの
E
心電図で、重症な頻脈性又は徐脈性不整脈所見のあるもの
F
左室駆出率(EF)40%以下のもの
G
BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)が 200pg/ml 相当を超えるもの
H
重症冠動脈狭窄病変で左主幹部に 50%以上の狭窄、あるいは、3 本の主要冠動脈に 75%以上の狭窄を認めるもの
I
心電図で陳旧性心筋梗塞所見があり、かつ、今日まで狭心症状を有するもの
(注 1) 原則として、異常検査所見があるもの全てについて、それに該当する心電図等を提出(添付)させること。
(注 2) 「F」についての補足
心不全の原因には、収縮機能不全と拡張機能不全とがある。
近年、心不全症例の約 40%はEF値が保持されており、このような例での心不全は左室拡張不全機能障害によるものとされている。しかしながら、現時点において拡張機能不全を簡便に判断する検査法は確立されていない。左室拡張末期圧基準値(5−12mmHg)をかなり超える場合、パルスドプラ法による左室流入血流速度波形を用いる方法が一般的である。この血流速度波形は急速流入期血流速度波形(E波)と心房収縮期血流速度波形(A波)からなり、E/A比が 1.5 以上の場合は、重度の拡張機能障害といえる。
(注 3) 「G」についての補足
心不全の進行に伴い、神経体液性因子が血液中に増加することが確認され、心不全の程度を評価する上で有用であることが知られている。中でも、BNP値(心室で生合成され、心不全により分泌が亢進)は、心不全の重症度を評価する上でよく使用されるNYHA分類の重症度と良好な相関性を持つことが知られている。この値が常に 100 pg/ml 以上の場合は、NYHA心機能分類で2度以上と考えられ、200 pg/ml 以上では心不全状態が進行していると判断される。
(注 4) 「H」についての補足
すでに冠動脈血行再建が完了している場合を除く。
本事案の場合
上記のように、ペースメーカーを装着したものについては、原則として3級と認定されますが、ペースメーカーを装着していなくても、上記の認定基準を満たす場合は、障害年金を受給することができます。
上記の認定基準をご参考のうえ、障害年金の請求をご検討されてはいかがでしょうか。
障害年金を受給するために
障害年金の審査は、「しんどい」、「お金に困っている」、「悲しい」等ではなく、あくまで認定基準に該当しているか否かを審査されます。
そのため、国民年金法・厚生年金法や認定基準等をご存じない方がひとりで対応するには限界があります。
ご自分の生活がかかった大切なことなので、専門家である社労士に知識・経験を求めるのが最善の選択です。
一人でわけも分からず不安いっぱいで戦うのではなく、あなたの代理人となって受給に向けて取り組んでくれる専門家である社労士を味方につけてください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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