傷病手当金を受けている状態で障害厚生年金の申請をしてもよいのでしょうか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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夫が半年前に脳出血のため障害者となり、左半身麻痺と失語症の後遺症があります。
現在傷病手当金をいただいていますが、終了後は障害厚生年金の申請をする予定です。
先日年金事務所で相談したところ、症状が固定していれば1年半を待たずに障害厚生年金の申請ができると聞き、書類をもらいました。
傷病手当金を受けている状態で障害厚生年金の申請をしてもよいのでしょうか?
早めに申請をした方が年金額が多くもらえるなどがあるのでしょうか?
本回答は2021年2月現在のものです。
傷病手当金を受給中に、障害厚生年金の申請をしても構いません。
また、早めに申請をした方が年金額が多くもらえる、ということはなく、申請時期が異なっても年金額は同じです。
ただし、申請の時期が遅れるほど受給できる時期が遅れるため、早めに申請をするのがよいでしょう。
傷病手当金と障害厚生年金は、同時に受ける場合併給調整を受けますが、それによって損をすることはありません。
障害厚生年金の申請できる時期が到来すれば、手続きを行いましょう。
障害厚生年金と傷病手当金の併給調整について
同一傷病について、「障害厚生年金」を受給している期間と傷病手当金を受給している期間が重なっている場合、傷病手当金について減額調整されます。
- 傷病手当金>障害厚生年金の場合、傷病手当金は差額分が支給されます。
- 傷病手当金<障害厚生年金の場合、傷病手当金は支給されません。
※ただし、別傷病の場合は調整されません。また障害基礎年金のみの場合も調整は行われません。
障害年金は、障害認定日が到来すれば申請ができます。
障害認定日とは
障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 「初診日」から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
ただし、脳出血などの脳血管疾患の障害認定日は、
- 初診日から6か月経過後の症状固定日
- 初診日から1年6か月を経過した日
のいずれか早い方の日となります。
次の認定基準を参考にしていただき、申請を行いましょう。
半身まひの認定基準
【1級】
- 一上肢及び一下肢の用を全く廃したもの…日常生活における動作のすべてが「一人で全くできない場合」又はこれに近い状態
【2級】
- 一上肢及び一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの…日常生活における動作の多くが「一人で全くできない場合」又は日常生活における動作のほとんどが「一人でできるが非常に不自由な場合」
【3級】
- 一上肢及び一下肢に機能障害を残すもの…日常生活における動作の一部が「一人で全くできない場合」又はほとんどが「一人でできてもやや不自由な場合」
※日常生活における動作と身体機能との関連は、厳密に区別することはできませんが、おおむね次の通りとされています。
【手指の機能】
- つまむ(新聞紙が引き抜けない程度)
- 握る(丸めた週刊誌が引き抜けない程度)
- タオルを絞る(水を切れる程度)
- ひもを結ぶ
【上肢の機能】
- さじで食事をする
- 顔を洗う(顔に手のひらをつける)
- 用便の処置をする(ズボンの前のところに手をやる)
- 用便の処置をする(尻のところに手をやる)
- 上衣の着脱(かぶりシャツを着て脱ぐ)
- 上衣の着脱(ワイシャツを着てボタンをとめる)
【下肢の機能】
- 片足で立つ
- 歩く(屋内)
- 歩く(屋外)
- 立ち上がる
- 階段を上る
- 階段を下りる
障害年金の対象となる失語症
障害年金の対象となる失語症とは、大脳の言語野の後天性脳損傷(脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷や脳炎など)により、一旦獲得された言語機能に障害が生じた状態のものをいいます。
失語症の障害の程度の認定について
障害年金の失語症の障害の程度は、以下により判断されます。
- 単語の呼称
- 短文の発話
- 長文の発話
- 単語の理解
- 短文の理解
- 長文の理解
音声又は言語機能の障害による認定基準は以下の通りです。
音声又は言語機能の障害の認定基準
【2級】
- 発音にかかわる機能を喪失するか、話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方がほとんどできないため、日常会話が誰とも成立しないもの
【3級】
- 話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方に多くの制限があるため、日常会話が、互いに内容を推論したり、たずねたり、見当をつけることなどで部分的に成り立つもの
【障害手当金】
- 話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方に一定の制限があるものの、日常会話が、互いに確認することなどで、ある程度成り立つもの
障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
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06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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