小学生の頃からの腎不全により人工透析になったのですが、障害年金は受給できるのでしょうか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私は現在28歳で、3か月前から人工透析を始めています。
もともと腎不全のため病院に行き始めたのは小学生の頃で、
将来的に移植する予定です。
私の場合、障害年金は受給できるのでしょうか?
そもそも受給要件に当てはまるのでしょうか?
また、移植する前と後では受給の可能性は違うのでしょうか?
本回答は2020年2月現在のものです。
ご質問者様の場合、小学生の頃の初診日を特定することができ、
人工透析を行っている期間中に請求の手続きを行えば、障害基礎年金2級が支給されます。
ただし、移植後、検査成績等が回復した状態で請求した場合は、
認定は得られない可能性も考えられます。
障害年金は、初診日を特定し、保険料納付要件を満たし、
障害の状態が等級に該当する場合は、支給を受けることができます。
初診日とは
障害の原因となった傷病について、
初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
具体的には次のような場合が初診日とされます。
- 初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)
- 同一の傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日
- 過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
- 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
- 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日
※ただし、知的障害の場合は、出生日が初診日となります。
保険料納付要件とは
初診日の前日において以下の1または2を満たしている必要があります。
- 初診日の属する月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納期間がないこと
※20歳前に初診日がある場合は、保険料納付要件は問われません。
人工透析療法施行中の障害年金について
人工透析療法施行中のものについては原則として2級と認定されます。
また、主要症状、人工透析療法中の検査成績、長期透析による合併症の有無とその程度、
具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定するものとされています。
ご質問者様の場合、
小学生の頃の初診日を特定することができれば、保険料納付要件は問われません。
人工透析を行っている期間中に請求手続きを行えば、障害基礎年金2級が支給されます。
ただし、移植後に請求手続きを行った場合は、腎疾患の認定基準により審査されるため、
症状が回復している場合は、認定が得られない場合もあります。
腎臓移植を受けた方の認定について
腎臓移植を受けた方の認定については、
術後の症状、治療経過、検査成績及び予後等を十分に考慮して総合的に認定されます。
腎疾患の認定基準
【1級】
- 以下1〜2を満たすもの
- 内因性クレアチニンクリアランスが10ml/分未満または、血清クレアチニンが8mg/dl以上
- 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの
【2級】
- 以下1〜2を満たすもの
- 内因性クレアチニンクリアランスが10ml/分以上20ml/分未満または、血清クレアチニンが5mg/dl以上8mg/dl未満
- 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの、または、身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の 50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
- 人工透析療法施行中のもの
【3級】
- 以下1〜2を満たすもの
- 内因性クレアチニンクリアランスが20ml/分以上30ml/分未満または、血清クレアチニンが3mg/dl以上5mg/dl未満
- 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの、または、軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの
- 以下1〜3を満たすもの
- 尿蛋白量が3.5以上を持続する
- 血清アルブミンが3.0g/dl以下または血清総蛋白が6.0g/dl以下
- 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの、または、軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの
なお、障害基礎年金2級の認定が得られた後に腎臓移植を受けた場合は、
臓器が生着し、安定的に機能するまでの間を考慮して
術後1年間は従前の等級とされますが、
その後は、腎疾患の認定基準により審査されることになります。
◎障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
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審査を受ける機会は審査請求、再審査請求を含めて3回あります。
しかし、1度目の請求で認められない場合、2度目以降で決定が覆るのは、たった14.7%となっています。より確実に認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
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06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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