右の股関節も人工関節となった場合は、障害年金2級になりますか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私は19歳の大学生の時に全身性エリテマトーデスと診断されました。
ステロイド治療を行っていたため、25歳の時に両足大腿骨頭壊死と診断され、翌年には左の股関節の人工股関節術を受けました。
手術を受けた時は会社員で厚生年金でしたので、障害年金3級が受給できると思っていたのですが、年金事務所の方から、初診日はステロイド治療を開始した19歳の時になるので、2級じゃないと受給できないと言われました。
私の場合、右の股関節も人工関節となった場合は、2級になりますか?
人工関節をそう入置換したものについては、原則として3級と認定されます。両足が人工関節となっても、生活に支障がない場合は、3級と認定されます。
ただし、両足に人工関節のそう入置換術を行い、かつ、以下のすべてを満たすと2級に認定されます。
両下肢に人工骨頭または人工関節をそう入置換した場合
- 立ち上がる、歩く、片足で立つ、階段を登る、階段を下りるなどの日常生活動作が、実用性に乏しいほど制限されていること。例えば、日常生活動作の多くが一人で全くできないか、または必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、非常に困難であること。
- 下肢障害の主な原因および程度評価の根拠が、自覚症状としての疼痛のみによるものではなく、医学的、客観的にその障害を生ずるに妥当なものであること。
- 下肢の障害の状態が、行動量、気候、季節などの外的要因により一時的に大きく変動するものではなく、永続性を有すること。
3級は厚生年金にしかない等級ですので、障害厚生年金の請求であれば認定を得ることができますが、障害基礎年金の請求では認定を得ることはできません。
障害厚生年金か障害基礎年金か
障害厚生年金を受給できるか、障害基礎年金の受給となるかは、初診日(初めて病院を受診した日)に加入していた年金制度によって決まります。
- 初診日が厚生年金被保険者期間中にある場合は、障害厚生年金
- 初診日が国民年金被保険者期間中にある場合は、障害基礎年金
- 初診日が20歳前または60歳以上65歳未満(国内に住んでいる方のみ)の年金未加入期間にある場合は、障害基礎年金
人工関節術を受けた時点で厚生年金に加入していても、初診日の時点で国民年金だった場合は、障害基礎年金の請求になるため、障害の状態が1級もしくは2級に該当しないと受給はできません。
障害基礎年金と障害厚生年金の障害等級について
- 障害基礎年金…1級および2級
- 障害厚生年金…1級、2級および3級
※症状の重さによって等級が分けられています。
※3級が最も症状が軽く、2級、1級になるにつれて症状が重く、また受給額も多くなります。
初診日とは
障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
具体的には次のような場合が初診日とされます。
- 初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)
- 同一の傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日
- 過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
- 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
- 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日
- 先天性心疾患、網膜色素変性症などは、具体的な症状が出現し、初めて診療を受けた日
※ただし、知的障害の場合は、出生日が初診日となります。
ご質問内容にもあるように、ステロイド治療を行ったことと大腿骨頭壊死の間には相当因果関係があるとすると、初診日はステロイド治療を開始した日になるでしょう。
初診日の時点で国民年金もしくは20歳前の未加入期間であった場合は、障害基礎年金の請求となり、障害の状態が1級もしくは2級に該当すると判断された場合、受給が可能となります。
相当因果関係とは
前の疾病または負傷がなかったならば、後の疾病が起こらなかったであろうと認められる場合は、相当因果関係ありと見て前後の傷病を同一傷病として取り扱います。
そのため初診日は、前の疾病または負傷について初めて医師等の診療を受けた日となります。
ご質問者様の場合も、現時点では3級に相当する可能性が考えられます。
今後、両方とも人工関節となり、かつ、上記の2級の認定基準に該当する程度となった場合は、障害基礎年金の請求についてご検討されてはいかがでしょうか。
障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
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このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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