右半身麻痺で障害厚生年金3級でしたが、活動の範囲は屋内なので2級にあてはまらないですか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私の夫(56歳)は脳出血で右半身まひになりました。
リハビリでだいぶ回復しましたが、車の運転ができなくなりました。
運送の仕事しかしてこなかったので、今更事務の仕事はできません。
そこで2年前に障害年金の手続きをしたのですが、3級でした。
ネットで調べると、確かに身体の状態は3級レベルでしたが、
長距離の歩行は難しいので、活動の範囲は庭に出る程度ですし、
ほとんど屋内で生活し、食事作りや洗濯はしません。
これは障害の状態の基本の2級にあてはまらないですか?
本回答は2018年11月現在のものです。
確かに、障害年金2級の基本は以下のように定められています。
障害年金2級の障害の状態の基本
身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が、
日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとします。
この日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度とは、
必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、
日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度のものです。
例えば、家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、
それ以上の活動はできないものまたは行ってはいけないもの、
すなわち、病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られるものであり、
家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるものとされています。
しかし、上記障害の状態の基本は、
飽くまでも2級の一般的な状態を示したものに過ぎず、
障害の状態の審査は、傷病ごとに定められた認定基準によって行われます。
障害年金の審査において、半身まひなどの肢体の機能の障害については、
以下の認定基準により審査され、等級が決定します。
肢体の障害の認定について
肢体の機能の障害の程度は、関節可動域、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、
日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定されます。
各等級に相当すると認められるものを一部例示すると、以下の通りです。
半身まひの認定基準
【1級】
- 一上肢及び一下肢の用を全く廃したもの…日常生活における動作のすべてが「一人で全くできない場合」又はこれに近い状態
【2級】
- 一上肢及び一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの…日常生活における動作の多くが「一人で全くできない場合」又は日常生活における動作のほとんどが「一人でできるが非常に不自由な場合」
【3級】
- 一上肢及び一下肢に機能障害を残すもの…日常生活における動作の一部が「一人で全くできない場合」又はほとんどが「一人でできてもやや不自由な場合」
※日常生活における動作と身体機能との関連は、厳密に区別することはできませんが、
おおむね次の通りとされています。
【手指の機能】
- つまむ(新聞紙が引き抜けない程度)
- 握る(丸めた週刊誌が引き抜けない程度)
- タオルを絞る(水を切れる程度)
- ひもを結ぶ
【上肢の機能】
- さじで食事をする
- 顔を洗う(顔に手のひらをつける)
- 用便の処置をする(ズボンの前のところに手をやる)
- 用便の処置をする(尻のところに手をやる)
- 上衣の着脱(かぶりシャツを着て脱ぐ)
- 上衣の着脱(ワイシャツを着てボタンをとめる)
【下肢の機能】
- 片足で立つ
- 歩く(屋内)
- 歩く(屋外)
- 立ち上がる
- 階段を上る
- 階段を下りる
ご質問内容からは、具体的な筋力や関節可動域、
日常生活における動作の状態等がわかりかねますので、
2級に相当するか否かについては判断いたしかねますが、
上記の認定基準を参考にしていただき、2級に該当すると思われるのであれば、
額改定請求をされてはいかがでしょうか。
額改定請求とは
障害の程度が重くなったときは、その旨を申し立て、
年金額の変更を請求することができます。
これを額改定請求といいます。
ただし、額改定請求には、原則として以下の待機期間が設けられています。
額改定請求の待期期間
額改定請求は原則として、次の日を経過した日以降にすることができます。
- 障害認定日請求により受給権を得た場合は、障害認定日から1年経った日
- 事後重症請求により受給権を得た場合は、裁定請求日から1年経った日
- 以前に額改定請求をした場合は、額改定請求日から1年経った日
- 障害状態確認届(現況診断書)提出により減額改定された場合は、誕生月から3ヶ月後の1日から1年経った日
- 障害状態確認届(現況診断書)提出により等級変更がなかった場合は、いつでも可能
額改定請求の際は、診断書を添付し、手続きをしましょう。
◎障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
当サイトでは1分で障害年金をもらえるか、カンタン査定をいたします。
◎社労士への依頼も合わせてご検討ください
審査を受ける機会は審査請求、再審査請求を含めて3回あります。
しかし、1度目の請求で認められない場合、2度目以降で決定が覆るのは、たった14.7%となっています。より確実に認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
こちらも合わせてご検討ください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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