ひとつひとつ整理していきましょう。
まず、身体障害者手帳と障害年金の関係は以下の通りです。
身体障害者手帳と障害年金の関係について
身体障害者手帳と障害年金は、根拠法も審査機関も認定基準も異なる全く別の制度です。
身体障害者手帳の等級は障害年金の受給の可否に影響がありません。
次に、遡及請求についてみていきましょう。
遡及請求とは
障害認定日から長期間経過していたとしても、障害認定日から3か月以内の診断書を取得することができれば、障害認定日時点で審査を受けることができます。
審査の結果、障害認定日の時点で障害等級に該当すると判断された場合、障害認定日にさかのぼって受給権が得られ、障害認定日の翌月分から現在までの障害年金(最大5年分)をさかのぼって受給することができます。
本事案の場合1
お母さまは「子供の頃から左下肢機能障害」とのことですので、20歳前傷病の障害基礎年金の請求となるでしょう。
|
20歳前傷病の障害基礎年金とは…
先天性の病気などにより20歳前から障害があり、初診日が、20歳前(年金制度に加入していない期間)にあり、かつ、障害の状態が1級または2級に該当する場合には、障害基礎年金を受けることができます。
|
20歳前傷病の障害基礎年金の障害認定日
20歳前傷病の障害基礎年金の障害認定日は、
- 20歳の誕生日
- 請求する傷病の初診日から起算して1年6か月を経過した日
のいずれか遅い方となります。
遡及請求で障害年金を受給するためには
遡及請求で障害年金を受給するためには、以下1~4すべてを満たす必要があります。
- 障害認定日時点で受診している。
- 医療機関に障害認定日時点のカルテが残っている。
- 当時のカルテにより障害年金の診断書を作成いただける
- 障害認定日時点で障害年金の等級に該当する。
障害認定日時点で審査を受けることができない場合や認定を得られない場合は、事後重症請求を行うこととなります。
|
傷病により障害の状態にあるものが、障害認定日において障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなかった場合でも、その後、状態が悪化し、障害等級に該当する障害の状態となった場合、65歳に達する日の前日までに裁定請求をすることができます。
これを事後重症請求といいます。
事後重症請求で障害年金の認定を得ることができた場合、請求日の属する月の翌月分から受給することができます。
|
最後に、現在の状態が障害年金の等級に該当するか検討しましょう。
人工骨頭をそう入した場合
人工骨頭をそう入したものは、原則として3級と認定されます。
|
障害年金3級について
3級は、障害厚生年金にしかない等級です。
障害基礎年金の請求となるか、障害厚生年金の請求となるかは、初診日に加入していた年金制度によって決まります。
初診日の時点で厚生年金に加入している場合は、障害厚生年金の請求が可能となり、3級の認定を得ることができます。
しかし、初診日の時点で国民年金に加入している場合や20歳前で年金制度未加入であった場合は、障害基礎年金の請求になるため、3級相当では障害年金を受給することができません。
|
ただし、両下肢に人工関節または人工骨頭をそう入した場合、2級に認定される可能性が考えられます。
両下肢に人工骨頭または人工関節をそう入置換した場合
両下肢の3大関節のうち1関節にそれぞれ人工骨頭または人工関節のそう入置換手術を行った場合の障害認定については、以下の要件のすべてを満たした場合には、2級以上に認定することとされています。
- 立ち上がる、歩く、片足で立つ、階段を登る、階段を下りるなどの日常生活動作が、実用性に乏しいほど制限されていること。例えば、日常生活動作の多くが一人で全くできないか、または必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、非常に困難であること。
- 下肢障害の主な原因および程度評価の根拠が、自覚症状としての疼痛のみによるものではなく、医学的、客観的にその障害を生ずるに妥当なものであること。
- 下肢の障害の状態が、行動量、気候、季節などの外的要因により一時的に大きく変動するものではなく、永続性を有すること。
本事案の場合2
【1】
遡及請求するためには、7年前ではなく障害認定日時点の診断書の取得が可能かを検討しましょう。
【2】
上記をご参考のうえ、現在の状態が障害年金の等級に該当するかを検討しましょう。
障害年金を受給するために
障害年金の審査は、「しんどい」、「お金に困っている」、「悲しい」等ではなく、あくまで認定基準に該当しているか否かを審査されます。
そのため、国民年金法・厚生年金法や認定基準等をご存じない方がひとりで対応するには限界があります。
ご自分の生活がかかった大切なことなので、専門家である社労士に知識・経験を求めるのが最善の選択です。
一人でわけも分からず不安いっぱいで戦うのではなく、あなたの代理人となって受給に向けて取り組んでくれる専門家である社労士を味方につけてください。