脳内出血で身体障害だけで障害年金を申請。精神障害を申請したら、頂ける金額が変わるのでしょうか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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主人は現在50代後半ですが、2年前に脳内出血で倒れ、
身体障害者手帳1級、右半身麻痺、高次脳機能障害、失語症などになりました。
先日、身体障害の分だけで障害年金の手続きをしました。
その後、高次脳機能障害で精神障害の方でも申請できると聞いたのですが、
精神障害の分を申請したら、頂ける金額が変わるのでしょうか?
本回答は2017年7月時点のものです。
障害等級が2級以上の障害年金受給権者に対し、
さらに障害年金2級以上を支給すべき事由が生じた場合、
併合(加重)認定され、さらに上位等級に認定される場合があります。
ご質問者様の場合、身体障害の分だけで障害年金2級以上に認定され、
後から精神障害の申請をして2級以上に認定された場合、
併合により1級とされる可能性が考えられます。
障害年金の受給額は平成29年現在、以下の通りとなっています。
障害年金の受給額(平成29年)
- 障害基礎年金1級…年974,100円
- 障害基礎年金2級…年779,300円
- 障害厚生年金1級…年974,100円+報酬比例の年金額×1.25
- 障害厚生年金2級…年779,300円+報酬比例の年金額
- 障害厚生年金3級…報酬比例の年金額(最低保証額584,500円)
※障害基礎年金の受給権者に加算対象となる子がいる場合、子の加算を受けることができます。
※障害厚生年金1級、2級の受給権者に加算対象となる配偶者がいる場合、配偶者の加給年金を受けることができます。
ご質問内容に、右半身麻痺、高次脳機能障害、失語症などになったとありますが、
脳血管障害など、肢体の障害が上肢及び下肢などの広範囲にわたる障害の場合、
「肢体の機能の障害」として認定されます。
肢体の障害の認定について
肢体の機能の障害の程度は、
関節可動域、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、
日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定されます。
なお、他動可動域による評価が適切ではないものについては、
筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、
日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定されます。
半身まひの各等級に相当すると認められるものを一部例示すると、以下の通りです。
半身まひの認定基準
【1級】
- 一上肢及び一下肢の用を全く廃したもの…日常生活における動作のすべてが「一人で全くできない」又はこれに近い状態
【2級】
- 一上肢及び一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの…日常生活における動作の多くが「一人で全くできない場合」又は日常生活における動作のほとんどが「一人でできるが非常に不自由な場合」
【3級】
- 一上肢及び一下肢に機能障害を残すもの…日常生活における動作の一部が「一人で全くできない場合」又はほとんどが「一人でできてもやや不自由な場合」
高次脳機能障害の各等級に該当する障害の状態は、以下の通りとなっております。
高次脳機能障害の認定基準
【1級】
- 高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため、常時の援助が必要なもの
【2級】
- 認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、日常生活が著しい制限を受けるもの
【3級】
- 認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、労働が制限を受けるもの
- 認知障害のため、労働が著しい制限を受けるもの
障害年金の対象となる失語症
障害年金の対象となる失語症とは、
大脳の言語野の後天性脳損傷(脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷や脳炎など)により、
一旦獲得された言語機能に障害が生じた状態のものをいいます。
失語症の障害の程度の認定について
障害年金の失語症の障害の程度は、
- 単語の呼称
- 短文の発話
- 長文の発話
- 単語の理解
- 短文の理解
- 長文の理解
により判断されます。
音声又は言語機能の障害による認定基準は以下の通りです。
音声又は言語機能の障害の2級の認定基準
【2級】
- 発音にかかわる機能を喪失するか、話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方がほとんどできないため、日常会話が誰とも成立しないもの
身体障害者手帳1級をお持ちとのことですので、大変な思いをされていることが推察されます。
日常生活状況等が分かりかねますが、
併合認定により、さらに上位等級に認定され可能性も考えられます。
申請を検討されてはいかがでしょうか。
障害年金の申請について
障害の状態によって等級が決まりますが、
提出書類によって、2級相当の状態なのに3級となったり不支給となったり
というケースが数多くあります。
そのため関連書籍をご購入の上、申請されることをお勧めします。
審査のチャンスは審査請求、再審査請求を含めて3回ありますが、
1度目に不支給となると再審査請求で支給が決定するのは14.7%となっています。
慎重にご準備ください。
申請の流れはこちらにて解説していますので、ご参考にしてください。
社労士への依頼も合わせてご検討ください
よりスムーズに認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
疑問などがございましたら、下記お問い合わせフォームからお気軽にご質問ください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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