老齢基礎年金を障害基礎年金に変更したい。もう一度病院で診断書を書いてもらう必要があるのでしょうか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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父親が現在65歳で老齢基礎年金と老齢厚生年金を受けています。
父親は56歳の時に多発性硬化症で障害者認定2級を受給していましたが、
60歳の時に老齢基礎年金と老齢厚生年金の方が受給額が多いということで切り替えております。
今回、老齢基礎年金を障害基礎年金に変更したいと伝えると
診断書を再提出してと言われたのですが、
もう一度病院で診断書を書いてもらう必要があるのでしょうか?
本回答は2017年7月現在のものです。
障害年金は、原則として有期認定(1〜5年)です。
お父さまの場合、老齢年金に選択替えをしてから5年が経過しており、
障害年金の更新の時期はすでに経過していることが推察されます。
そのため障害基礎年金に替える場合は、再度診断書の提出が必要となります。
ご質問内容から、お父さまは60歳から
特別支給の老齢厚生年金の障害者特例を受けていたものと推察いたします。
特別支給の老齢厚生年金の障害者特例について
特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始を、
報酬比例部分の支給開始と同じにするというのが、障害者特例です。
障害者特例を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 昭和36年4月1日以前生まれの男性、または昭和41年4月1日以前生まれの女性
- 過去に12カ月以上厚生年金に加入
- 現在は厚生年金に加入していない
- 年金保険料の納付月数と免除月数の合算月数が300月以上
- 障害等級3級以上に該当
- 障害者特例の老齢厚生年金を請求
特別支給の老齢厚生年金の障害者特例では、
障害年金のような更新の手続きが不要のため、
診断書を取得する必要はありませんが、
障害年金の場合は、更新の都度、診断書の提出が必要となります。
特に多発性硬化症等の進行性の傷病の場合は、症状固定とはならないことが考えられるため、
今後、障害年金を選択し続ける場合は、
数年ごとに診断書の取得が必要となる可能性が考えられます。
障害年金の更新では、再度障害の状態を審査されるため、
障害の状態によっては、さらに上位等級に認定される可能性も考えられます。
多発性硬化症の認定基準は、以下の通りです。
多発性硬化症の認定基準
関節可動域、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定されます。
なお、他動可動域による評価が適切ではないもの(例えば、末梢神経損傷を原因として関節を可動させる筋が弛緩性の麻痺となっているもの)については、
筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定されます。
各等級に相当する障害の状態は、
【1級】
- 一上肢及び一下肢の用を全く廃したもの
- 四肢の機能に相当程度の障害を残すもの
【2級】
- 一上肢及び一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの
- 四肢に機能障害を残すもの
【3級】
- 一上肢及び一下肢に機能障害を残すもの
65歳以降は障害基礎年金と老齢厚生年金の併給が可能となるため、
老齢基礎年金との組み合わせより受給額が増える場合があります。
障害年金と老齢年金の両方の受給権を得られた場合の組み合わせ
障害年金と老齢年金の両方の受給権を得られた場合の受給可能な組み合わせは、
- 障害基礎年金+障害厚生年金
- 老齢基礎年金+老齢厚生年金
- 障害基礎年金+老齢厚生年金
の3通りとなり、上記の中から有利なものを選択することになります。
また、途中で選択替えをすることも可能です。
障害年金を受給されるのであれば、診断書を取得しましょう。
障害年金の更新について
実際の状態に変化はないにもかかわらず、
更新時の診断書提出により金額を減らされる、支給停止となることが、
見受けられます。
等級を維持することができるかどうかについての判断には専門知識が必要となります。
関連書籍をご購入の上、申請されることをお勧めします。
更新時に支給停止となった場合、審査請求、再審査請求をすることができますが、
1度目に支給停止になると再審査請求で決定が覆るのは14.7%となっています。
慎重に書類をご準備ください。
社労士への依頼も合わせてご検討ください
よりスムーズに等級を維持するために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
私は元厚生労働省の事務官ですので、
役所の論理・理屈を理解しており、これまで90%以上の確率で認定を得ています。
もし社労士への依頼を検討される場合は、こういった点も合わせてお考えください。
疑問などがございましたら、下記お問い合わせフォームからお気軽にご質問ください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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