知人が交通事故で寝たきりに。障害年金や介護保険など受けられるのでしょうか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
-
知人(57歳)が交通事故にあったそうです。
状況は厳しく、寝たきりになる可能性が高いとのことで、
ご家族は精神的にも肉体的にもかなり疲労困憊されています。
これからの事を考える上で当面の資金繰りの心配をされています。
障害年金や介護保険など受けられるのでしょうか?
本回答は2017年8月時点のものです。
交通事故で寝たきりになる可能性が高いとのことですので、
大変な思いをされていることが推察されます。
寝たきりの状態の詳細がわかりかねますが、
上肢および下肢などの広範囲にわたって障害がある場合には、
肢体の機能の障害の認定基準として認定されることが考えられます。
肢体の機能障害の認定について
肢体の機能の障害の程度は、
関節可動域、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、
日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定されます。
なお、他動可動域による評価が適切ではないものについては、
筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、
日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定されます。
肢体の障害の認定基準は、以下の通りです。
肢体の障害の認定基準
【1級】
- 一上肢及び一下肢の用を全く廃したもの
- 四肢の機能に相当程度の障害を残すもの
【2級】
- 一上肢及び一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの
- 四肢に機能障害を残すもの
【3級】
- 一上肢及び一下肢に機能障害を残すもの
障害年金は直接の金銭給付となっております。
申請を検討されてはいかがでしょうか。
ただし、損害賠償を受取る場合は、以下の調整が行われます。
障害の原因が第三者行為による場合
障害年金の支給原因となった事故が第三者によって引き起こされた場合、
受給権者が障害給付と損害賠償を重複受給することを避けるため、
調整されます。
障害年金の受給権者が加害者から損害賠償を受けた場合、
事故日の翌月から起算して、最長36月の範囲内で支給停止が行われます。
この36か月は「最長36か月の範囲内」とされています。
過失割合などで減額された場合は、短くなることもあります。
なお、調整の対象となるのは損害賠償金の全額ではなく、
生活保障費相当額(逸失利益)のみが対象となります。
公的介護保険制度について
【第1号被保険者】(65歳以上の方)
- 介護や支援が必要と認定された場合に介護サービスを利用できます。
【第2号被保険者】(40〜64歳の方)
- 介護保険で対象となる疾病(特定疾病)が原因で要介護認定を受けた場合に、介護サービスを利用できます。
特定疾病とは…
- 末期がん
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靱帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 変形性関節症(両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う)
上記のように、40〜64歳の方の場合、特定疾病の範囲が明確にされています。
交通事故の後遺症等は認められていません。
なお、民間の介護保険に加入している場合は、
各保険会社にお問い合わせください。
また、医療費を助成する制度として、以下の制度がありますので、
利用されてはいかがでしょうか。
高額療養費制度とは
入院や外来治療などのため、かかった医療費が高額になった場合、
ご自身の所得の状況に応じた自己負担限度額を上回った金額について、
高額療養費として、
加入している医療保険から後日支払ってもらうことができる制度です。
詳しくは、加入している保険者(保険証に記載してある保険者)にご確認ください。
医療費控除とは
生計を一にする家族の医療費が、1月から12月の1年間で10万円を超える場合には、
確定申告を行うと、所得税の控除を受けることができます。
これを医療費控除といいます。
詳しくは、お近くの税務署等にお問い合わせください。
障害年金の申請について
障害の状態によって等級が決まりますが、
提出書類によって、2級相当の状態なのに3級となったり不支給となったり
というケースが数多くあります。
そのため関連書籍をご購入の上、申請されることをお勧めします。
審査のチャンスは審査請求、再審査請求を含めて3回ありますが、
1度目に不支給となると再審査請求で支給が決定するのは14.7%となっています。
慎重にご準備ください。
申請の流れはこちらにて解説していますので、ご参考にしてください。
社労士への依頼も合わせてご検討ください
よりスムーズに認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
疑問などがございましたら、下記お問い合わせフォームからお気軽にご質問ください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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