去年から老齢年金を繰上げて受給しているのですが、障害基礎年金も受給できますか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私の夫は現在62歳です。3年前、くも膜下出血で倒れ、
その時は自営業でしたので、国民年金のみ加入していましたが、
過去には厚生年金に加入していたこともあります。
現在、手や腕に痺れが残っているため、仕事は辞めました。
去年から老齢年金を繰上げて受給しているのですが、
もし今後、障害年金の2級に認定されれば、
障害基礎年金と老齢厚生年金が受給できるようになるのでしょうか?
本回答は2018年2月時点のものです。
老齢基礎年金を繰り上げ受給した場合、
障害年金の事後重症請求ができなくなり、障害認定日請求のみ可能となります。
事後重症請求とは
傷病により障害の状態にあるものが、
障害認定日(原則として初診日から1年6月経過した日)において
障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなかった場合でも、
その後、状態が悪化し、障害等級に該当する障害の状態となった場合、
65歳に達する日の前日までに裁定請求をすることができます。
障害認定日請求とは
初診日から1年6ヶ月経過した日、又は、
それ以前に傷病が治癒した日である障害認定日時点での診断書を取得し、
請求することを障害認定日請求といいます。
ご質問者様の場合、3年前の初診日を特定し、障害認定日を特定し、
その時点の診断書が取得できれば、障害基礎年金の申請が可能となります。
その時点の障害の程度が、障害等級2級相当であれば、
障害基礎年金2級が受給できる可能性も考えられます。
上肢の機能障害の認定基準は、以下の通りです。
上肢の機能障害の認定基準
【1級】
両上肢の機能に著しい障害を有するもの。
具体的には、両上肢の3大関節中それぞれ2関節以上の関節が、次のいずれかに該当するもの
- 不良肢位で強直しているもの
- 関節の他動可動域が、参考可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの
- 筋力が著減または消失しているもの
【2級】
1.一上肢の機能に著しい障害を有するもの。
具体的には、一上肢の3大関節中いずれか2関節以上の関節が、
- 不良肢位で強直しているもの
- 関節の他動可動域が、健側の他動可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの
- 筋力が著減または消失しているもの
2.両上肢の機能に相当程度の障害を残すもの
- 両上肢の3大関節中それぞれ1関節の他動可動域が、参考可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの
【3級】
1.一上肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの。
「用を廃したもの」とは、関節の他動可動域が健側の他動可動域の2分の1以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すものをいう。
2.一上肢の機能に相当程度の障害を残すもの。
例えば、一上肢の3大関節中1関節が不良肢位で強直しているもの
3.両上肢に機能障害を残すもの
例えば、両上肢の3大関節中1関節の筋力が半減しているもの
認定日請求が認められた場合は、
障害認定日に遡って障害基礎年金が支給されますが、
老齢年金を繰上げ支給されている時点からは、
繰り上げの老齢年金か障害基礎年金か、どちらか有利な方をを選択することになります。
障害年金は、原則として1〜5年の有期認定のため更新の手続きが必要ですが、
老齢年金は、そのような更新の手続きは必要ありません。
障害年金は非課税所得となりますが、老齢年金は課税対象となっています。
単に受給額のみを比較するだけではなく、
これらを考慮したうえで、老齢年金と障害年金のどちらを受ける方が得か、
検討されてはいかがでしょうか。
なお、65歳以降は障害年金と老齢年金について併給できる場合があり、
以下の組み合わせの中から選択することとなります。
障害年金と老齢年金の両方の受給権を得られた場合の組み合わせ
障害年金と老齢年金の両方の受給権を得られた場合の受給可能な組み合わせは、
- 障害基礎年金+障害厚生年金
- 老齢基礎年金+老齢厚生年金
- 障害基礎年金+老齢厚生年金
の3通りとなり、上記の中から有利なものを選択することになります。
また、途中で選択替えをすることも可能です。
障害年金の申請について
障害の状態によって等級が決まりますが、
提出書類によって、2級相当の状態なのに3級となったり不支給となったり
というケースが数多くあります。
そのため関連書籍をご購入の上、申請されることをお勧めします。
審査のチャンスは審査請求、再審査請求を含めて3回ありますが、
1度目に不支給となると再審査請求で支給が決定するのは14.7%となっています。
慎重にご準備ください。
申請の流れはこちらにて解説していますので、ご参考にしてください。
社労士への依頼も合わせてご検討ください
よりスムーズに認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
疑問などがございましたら、下記お問い合わせフォームからお気軽にご質問ください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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