網膜色素変性症で、障害年金の申請はせずに初診日の証明書だけ取得することは可能ですか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私は10年前から網膜色素変性症で、今は3つ目の病院です。
まだ生活に支障が出るほどではないのですが、いつかは障害年金を申請しようと思っています。
障害年金を申請するためには初診日が重要と知りました。
障害年金の申請はせずに初診日の証明書だけ取得することは可能ですか?
障害年金の請求はせずに、初診日の証明書(受診状況等証明書)だけ取得することは可能です。
初診日の特定について
障害年金の請求において、初診日の特定は非常に重要です。
初診日の証明書(受診状況等証明書といいます)は、原則として、カルテに基づいて作成していただきます。カルテの保存期間は法律上5年間ですので、初診日に受診した医療機関にいかなくなってから5年以上経っている場合はカルテが破棄されていることがあります。
医療機関によっては5年より長い保存時間を定めているところもありますので、まずは連絡して確認しましょう。
初診日を確定できないと、
- 障害基礎年金の請求か、障害厚生年金の請求か。
- 保険料納付要件を満たしているか。
- 障害認定日はいつか。
を決めることができません。
これは、どんなに現在の障害の状態が重くても、障害年金の請求手続きすべてが止まってしまうことを意味します。
自分ひとりでは初診日が分からない、確定できないという方はご相談ください。
初診日の確定のために探偵のようになります。
本事案の場合
今後、障害年金の請求をご検討されているのであれば、受診状況等証明書には有効期限はありませんので、カルテが残っている間に取得しておきましょう。
障害年金は、原則として65歳の誕生日の前々日までであれば請求が可能です。
それでは、網膜色素変性症でどのような状態なら障害年金を受給できるか、確認しておきましょう。
どのような状態なら障害年金を受給できるか
障害年金では、ケガや病気の程度に応じて等級が設定されています。
▼障害基礎年金
1級と2級▼障害厚生年金
1級、2級、3級障害が重い順に、1級、2級、3級となります。
さらに、障害厚生年金は、初診日から5年以内にこれ以上は医療の効果が期待できない状態になった(傷病が回復して元気な状態という意味ではありません)ときに一時金で支給される障害手当金があります。
視力障害の各等級に該当する障害の状態は以下の通りです。
障害年金の視力障害の認定基準について
障害の等級
障害の状態
1級
- 両眼の視力がそれぞれ 0.03 以下のもの
- 一眼の視力が 0.04、他眼の視力が手動弁以下のもの
2級
- 両眼の視力がそれぞれ 0.07 以下のもの
- 一眼の視力が 0.08、他眼の視力が手動弁以下のもの
3級
※障害厚生年金のみ
- 両眼の視力がそれぞれ 0.1 以下に減じたもの
- 障害手当金の程度であり症状固定していないもの
障害手当金
※障害厚生年金のみ
- 両眼の視力がそれぞれ 0.6 以下に減じたもの
- 一眼の視力が 0.1 以下に減じたもの
視野障害の各等級に該当する障害の状態は以下の通りです。
障害年金の視野障害の認定基準について
障害の等級
障害の状態
1級
- ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつI/2視標による両眼中心視野角度が28度以下のもの一眼の視力が0.04、他眼の視力が手動弁以下のもの
- 自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの
2級
- ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつI/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの
- 自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの
3級
※障害厚生年金のみ
- ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下に減じたもの障害手当金の程度であり症状固定していないもの
- 自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下に減じたもの
障害手当金
※障害厚生年金のみ
- ゴールドマン型視野計による測定の結果、I/2視標による両眼中心視野角度が56度以下に減じたもの
- 自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が100点以下に減じたもの
- 自動視野計による測定の結果、両眼中心視野視認点数が40点以下に減じたもの
※視力障害、視野障害が併存する場合には、併合認定の取扱いを行う。
障害年金を受給するために
障害年金の審査は、「しんどい」、「お金に困っている」、「悲しい」等ではなく、あくまで認定基準に該当しているか否かを審査されます。
そのため、国民年金法・厚生年金法や認定基準等をご存じない方がひとりで対応するには限界があります。
ご自分の生活がかかった大切なことなので、専門家である社労士に知識・経験を求めるのが最善の選択です。
一人でわけも分からず不安いっぱいで戦うのではなく、あなたの代理人となって受給に向けて取り組んでくれる専門家である社労士を味方につけてください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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