障害年金は、軽度の知的障害ではもらえないですか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私は広汎性発達障害です。療育手帳B2と障害者手帳3級です。
障害年金はもらえる人ともらえない人がいるそうですが、
それは重度か軽度かの違いによるものですか?
私は軽度の知的障害もあるようですが、軽度だともらえないですか?
本回答は2019年6月現在のものです。
知的障害の認定について
知的障害の認定に当たっては、知能指数のみに着眼することなく、
日常生活のさまざまな場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断されます。
日常生活能力等の判定当たっては、身体的機能および精神的機能を考慮の上、
社会的な適応性の程度によって判断されます。
知的障害の認定基準
- 1級…食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が不可能か著しく困難であるため、日常生活が困難で常時援助を必要とするもの
- 2級…食事や身のまわりのことなどの基本的な行為を行うのに援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため、日常生活にあたって援助が必要なもの
知能指数のみに着眼するのではなく、
あくまでも日常生活能力を中心に審査が行なわれます。
そのため、軽度知的障害であっても認定を得られている事例はたくさんあります。
療育手帳B2や軽度知的障害では、障害年金は受給できない、ということはありません。
また、療育手帳B1であっても日常生活能力によって認定を得られなかったという事例もあります。
このように、知的障害、発達障害の場合、
知能指数や軽度、重度のみによって認定の可否が決定されるものではありません。
ご質問者様の場合、広汎性発達障害と軽度の知的障害があるとのことですが、
発達障害と知的障害が併存しているときは、諸症状を総合的に判断して認定されます。
発達障害の認定基準は以下の通りとなっています。
発達障害の認定について
発達障害については、
たとえ知能指数が高くても社会行動やコミュニケーション能力の障害により
対人関係や意思疎通を円滑に行うことが出来ないために
日常生活に著しい制限を受けることに着目して認定をされます。
発達障害の認定基準
【1級】
以下1〜2を満たすもの
- 社会性やコミュニケーション能力が欠如している
- 著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの
【2級】
以下1〜2を満たすもの
- 社会性やコミュニケーション能力が乏しい
- 不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの
【3級】
以下1〜2を満たすもの
- 社会性やコミュニケーション能力が不十分
- 社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの
また、障害年金は、障害状態のみで認定されるのではありません。
障害年金を受給するための3つの条件
- 初診日要件…障害の原因となった病気やケガを医者か歯科医師に診てもらった日は、国民年金と厚生年金のどちらに加入していたか
- 保険料納付要件…一定以上の年金保険料を納めているかどうか。
- 障害認定日要件…厚生労働省が定めた「障害の基準」を満たしているかどうか
障害の状態の審査の他に、上記の通り、
- 初診日要件
- 保険料納付要件
を満たす必要があります。
「初診日要件」とは
初診日は、国民年金と厚生年金のどちらに加入していたか、
その加入していた制度によって、もらえる年金の種類が決まります。
- 初診日が厚生年金被保険者期間中にある場合は、障害厚生年金
- 初診日が国民年金被保険者期間中にある場合は、障害基礎年金
- 初診日が20歳前または60歳以上65歳未満(国内に住んでいる方のみ)の年金未加入期間にある場合は、障害基礎年金
※初診日とは…
障害の原因となった傷病について、
初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
具体的には次のような場合が初診日とされます。
- 初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)
- 同一の傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日
- 過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
- 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
- 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日
※ただし、知的障害の場合は、出生日が初診日となります。
「保険料納付要件」とは
初診日の前日において以下の1または2を満たしている必要があります。
- 初診日の属する月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納期間がないこと
※20歳前に初診日がある場合は、保険料納付要件は問われません。
◎障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
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◎社労士への依頼も合わせてご検討ください
審査を受ける機会は審査請求、再審査請求を含めて3回あります。
しかし、1度目の請求で認められない場合、2度目以降で決定が覆るのは、たった14.7%となっています。より確実に認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
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06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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