支給停止の不服申立てで持病の潰瘍性大腸炎が悪化したことを書けば、障害厚生年金3級がもらえますか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私はうつ病で障害厚生年金3級をもらっていたのですが、病状が少し良くなりアルバイトをしたので、更新で障害厚生年金3級がもらえなくなりました。
ものすごくショックでアルバイトにも行けなくなり、持病の潰瘍性大腸炎が悪化し、家から出られない状態となりました。
支給停止の不服申立てで持病の潰瘍性大腸炎が悪化したことを書けば、障害厚生年金3級がもらえますか?
支給停止の不服申立てで持病の潰瘍性大腸炎が悪化したことを書いても、決定を覆す判断材料とはなりません。
不服申し立て(審査請求、再審査請求の総称をいいます)とは、最初の決定に不服があるため、再度審査を請求するものです。
つまり、更新の際に提出した診断書をもう一度見直してもらい、更新の時点の障害の状態について改めて審査するよう、請求するものです。
支給停止となった後に状態が悪化したことを請求書に書いても、決定を覆す判断材料とはなりません。
また、うつ病と潰瘍性大腸炎は別疾病ですので、潰瘍性大腸炎が悪化したことを書いても、決定を覆す判断材料とはなりません。
審査請求、再審査請求とは
決定に不服があるときは、その決定があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に、文書または口頭で審査請求をすることができます。
審査請求の決定に対してさらに不服があるときは、決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して2か月以内に、再審査請求をすることができます。
不服申立てをすれば必ず結果が覆る、というものではなく、過去のデータからはむしろ覆る可能性の方が低くなっていますが、絶対覆らない、ということもありません。
更新の際の診断書にどのように記載されているかが分かりかねますが、下記の障害認定基準と照らし合わせて、明らかに等級に該当しているのであれば、不服申し立てをご検討されてはいかがでしょうか。
うつ病の認定基準
- 1級…高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたは頻繁に繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの
- 2級…気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたは頻繁に繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの
- 3級…気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したりまたは繰り返し、労働に制限を受けるもの
なお、うつ病の状態が悪化しているのであれば、支給停止事由消滅届を提出することができます。
不服申立てと併せて提出することができます。
支給停止事由消滅届とは
障害年金の更新の際に支給停止となっている方が、再び障害年金を受けられる程度になったときは、支給停止事由消滅届を提出することにより、支給が再開を求めることができます。
これは新たに現在の状態を記載した診断書により、現在の状態について審査を受け、等級に該当すると判断された場合、今後、支給が再開されるものとなっています。
また、潰瘍性大腸炎も障害年金の対象となっているため、要件を満たし、障害の状態が認定基準に該当する程度であれば、潰瘍性大腸炎で障害年金を受給することができます。
その際は、改めて申請の手続きが必要です。
難病(その他の疾患)による障害の認定基準について
【1級】
- 身体の機能に障害又は長期にわたる安静を必要とする症状があり、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
- 身の回りのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの
【2級】
- 日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
次のいずれかに該当するもの
- 身の回りのことはある程度できるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
- 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
【3級】
- 労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のもの
次のいずれかに該当するもの
- 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
- 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの。 例えば、軽い家事、事務など
(本回答は2021年8月現在のものです。)
障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
当サイトでは1分で障害年金をもらえるか、カンタン査定をいたします。
◎社労士への依頼も合わせてご検討ください
審査を受ける機会は審査請求、再審査請求を含めて3回あります。
しかし、1度目の請求で認められない場合、2度目以降で決定が覆るのは、たった14.7%となっています。より確実に認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
こちらも合わせてご検討ください。疑問などがございましたら、下記よりお気軽にお問い合わせください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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