まだ会社に在籍している身分で、障害年金を受けてもいいのでしょうか。

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
-
私はこの10年ほど、躁うつ病で苦しんできました。
しかし、妻と子供がいるので仕事を辞めることもできません。
マイホームとマイカーがあるので生活保護も無理です。
知人に障害年金が受けられるかもと教えてもらいました。
まだ会社に在籍している身分で、国の施しをいただいてもいいのでしょうか。
本回答は2017年10月時点のものです。
障害年金の性質
障害年金は、生活上の困難がもらたす一定の事由(保険事故)に対して、
被保険者があらかじめ保険料を拠出し、
保険者が給付を行うという社会保険制度となっています。
原則として年金保険料の納付を前提とする制度となっており、
障害者のための生活保護のような福祉や手当ではありません。
「保険料を払ったから保険給付を受けられる」という点では
民間保険と近い制度になっています。
障害を負ったために障害年金を受給することは、
年を取ったから老齢年金を受給する、
一家の大黒柱が亡くなったから遺族年金を受給する、
といったことと同様の国民の権利となっております。
また、働いていては障害年金は支給されない、ということはありません。
精神障害で就労している場合の日常生活能力の判断について
精神障害で就労している場合、
労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものととらえず、
その療養状況を考慮するとともに、
仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、
他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで
日常生活能力を判断されます。
障害年金は、以下の支給要件を満たすことができれば受給が可能です。
「初診日要件」とは
障害の原因となった病気やケガを医者か歯科医師に診てもらった日は、
国民年金と厚生年金のどちらに加入していたか、
その加入していた制度によって、もらえる年金の種類が決まります。
「保険料納付要件」とは
初診日の前日において以下の1または2を満たしている必要があります。
- 初診日の属する月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納期間がないこと
※20歳前に初診日がある場合は、保険料納付要件は問われません。
「障害認定日要件」とは
障害認定日において、一定以上の障害状態にあるかどうかで判断されます。
※障害認定日とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 初診日から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
障害認定日時点の診断書が取得できない等の理由で、
障害認定日請求ができない場合は、事後重症請求となります。
事後重症請求とは
傷病により障害の状態にあるものが、障害認定日において
障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなかった場合でも、
その後、状態が悪化し、障害等級に該当する障害の状態となった場合、
65歳に達する日の前日までに裁定請求をすることができます。
これを事後重症請求といいます。
躁うつ病(双極性障害)は障害年金の支給対象となっています。
下記に認定基準を記載いたしますので参考にしていただき、
申請を検討されてはいかがでしょうか。
双極性障害の認定基準
- 1級…高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたは頻繁に繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの
- 2級…気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたは頻繁に繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの
- 3級…気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したりまたは繰り返し、労働に制限を受けるもの
障害年金の申請について
障害の状態によって等級が決まりますが、
提出書類によって、2級相当の状態なのに3級となったり不支給となったり
というケースが数多くあります。
そのため関連書籍をご購入の上、申請されることをお勧めします。
審査のチャンスは審査請求、再審査請求を含めて3回ありますが、
1度目に不支給となると再審査請求で支給が決定するのは14.7%となっています。
慎重にご準備ください。
申請の流れはこちらにて解説していますので、ご参考にしてください。
社労士への依頼も合わせてご検討ください
よりスムーズに認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
疑問などがございましたら、下記お問い合わせフォームからお気軽にご質問ください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
気分障害に関するその他のQ&A
- 持続性気分障害と広汎性発達障害です。障害年金申請を考えています。
- 持続性気分障害と広汎性発達障害です。先日障害者手帳の取得のために診断書を書いてもらいました。診断書の日常生活能力は4の日常生活に著しい制限を受けており、常時援助を必要とするに○がついていました。現在働ける状態ではなく、今後出来れば障害年金をもらいながら、可能な範囲でアルバイトをしながら具合がよくなるのを待てたらと思っています。しかし、私は初診日には国民年金加入でした。この場合相当難しいと聞いています。このような状態で障害年金受給は可能でしょうか。
- 気分変調症という病名で障害年金は通りますか。
- 気分変調症と診断されています。障害年金の申請をしたいんですが、この病名で通るのでしょうか。うつ病、双極性障害、躁うつ病、統合失調症、知的障害で通ったという話は聞いたことがありますが、この病名で障害年金をもらっている人を知りません。もし初めから無理ならやっても仕方ないので。お願いします。
- 一人暮らしをしたいので、障害年金を受給したいと思っていますが、どのように手続きをすればいいですか?
- 私は幼いころから周りと違うことが多く、生きづらいと感じていました。今思えば、発達障害が根底にあって、気分障害を併発していたんだと思います。しかし両親に理解がなく、努力と根性が足りないと言われ、正社員で働くことを強く言われていたので何度か就職をしましたが、どれも長続きせず、最近1年は無職です。親元を離れて一人暮らしをしたいので、障害年金を受給したいと思っていますが、どのように手続きをすればいいですか?ちなみに、高校生の時に、両親に内緒で一度だけ精神科を受診したのですが、お金が続かなかったので通院はしませんでした。それ以来、病院には行っていません。
- てんかんと持続性気分障害を同時に患っていますが、障害基礎年金を受給できますか?
- 54歳、男性、アルバイト、独身です。10代の頃からのてんかんと持続性気分障害を患っております。病気持ちのため仕事も長続きしません。年金もろくに払っていません。障害者基礎年金を受給できる可能性はありますでしょうか?
- 精神障害で障害年金2級。更新で等級が変わらなかった場合は、金額は今までと同じ金額がもらえるのですか?
- 気分障害で障害厚生年金2級を受給しています。今回、初めての更新なのですが、更新で等級が変わらなかった場合は、金額は今までと同じ金額がもらえるのですか?徐々に減額されるとかはないのですか?