慢性腎不全と診断された時期にさかのぼって障害年金を請求することはできないのでしょうか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
-
私は2年前に体調を崩し、慢性腎不全と診断され、2週間ほど入院しました。
その時に、内シャントを作成しておいた方がいいと言われたので手術を受けました。
そして先月から人工透析を受けています。
知人から障害年金2級が受けられると聞きましたが、人工透析は事後重症請求しかできないとのことでした。
慢性腎不全と診断され内シャントを作成した時期にさかのぼって請求することはできないのでしょうか?
ご質問者様の場合、慢性腎不全と診断され内シャントを作成した時期にさかのぼって請求することはできないでしょう。
障害年金において、さかのぼって請求することを遡及請求といいますが、これは、障害認定日にさかのぼって請求するということです。
障害認定日とは、原則として初診日から1年6か月経過した日です。
初診日が2年前で、その時に慢性腎不全と診断され内シャントを作成したのであれば、その時期にさかのぼって請求することはできません。
遡及請求とは
遡及請求とは、障害認定日に障害等級に該当しているが、知らなかったなどの理由で、障害認定日から1年以上経過して請求するものです。
障害認定日から3か月以内の診断書を取得することができれば、遡及請求を行うことができます。
障害認定日とは
障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 初診日から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
ただし、人工透析療法施行中の障害認定日は、
- 人工透析療法を初めて受けた日から起算して3か月を経過した日
- 初診日から起算して1年6か月を経過した日
のいずれか早い方となります。
ご質問者様の場合、初診日が2年前であれば、障害認定日は初診日から1年6か月経過した日になりますので、その時点の診断書を取得することができれば遡及請求は可能です。
ただしその時点ではまだ人工透析は受けていないため、次の認定基準によって審査されることが考えられます。
参考にしていただき、遡及請求をご検討されてはいかがでしょうか。
腎疾患の認定基準
【1級】
- 以下1〜2を満たすもの
- 内因性クレアチニンクリアランスが10ml/分未満または、血清クレアチニンが8mg/dl以上
- 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの
【2級】
- 以下1〜2を満たすもの
- 内因性クレアチニンクリアランスが10ml/分以上20ml/分未満または、血清クレアチニンが5mg/dl以上8mg/dl未満
- 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの、または、身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の 50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
- 人工透析療法施行中のもの
【3級】
- 以下1〜2を満たすもの
- 内因性クレアチニンクリアランスが20ml/分以上30ml/分未満または、血清クレアチニンが3mg/dl以上5mg/dl未満
- 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの、または、軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの
- 以下1〜3を満たすもの
- 尿蛋白量が3.5以上を持続する
- 血清アルブミンが3.0g/dl以下または血清総蛋白が6.0g/dl以下
- 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの、または、軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの
なお、人工透析は事後重症請求しかできない、ということではありません。
初診日から1年6か月経過しない時期に人工透析となった場合は、障害認定日請求が可能となります。
事後重症請求とは
障害認定日に、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなかった場合でも、その後、状態が悪化し、障害等級に該当する障害の状態となった場合、65歳に達する日の前日までに裁定請求をすることができます。
障害認定日請求とは
障害認定日時点での診断書を取得し、請求することを障害認定日請求といいます。
(本回答は2021年9月現在のものです。)
障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
当サイトでは1分で障害年金をもらえるか、カンタン査定をいたします。
◎社労士への依頼も合わせてご検討ください
審査を受ける機会は審査請求、再審査請求を含めて3回あります。
しかし、1度目の請求で認められない場合、2度目以降で決定が覆るのは、たった14.7%となっています。より確実に認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
こちらも合わせてご検討ください。疑問などがございましたら、下記よりお気軽にお問い合わせください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
慢性腎不全に関するその他のQ&A
- 診断書に日常生活能力は問題ないと書かれていますが、障害年金2級はもらえるのですか?
- 私は20年前から糖尿病で、慢性腎不全になり、半年前から人工透析をしています。障害年金がもらえると聞き、診断書を書いてもらったのですが、日常生活能力は問題ないと書かれてあります。肉体労働は不可能だがそれ以外は可能と考える、とも書かれてあります。この状態でも障害年金2級がもらえるのですか?
- 糖尿病とネフローゼ症候群で障害厚生年金の申請はできないでしょうか。
- 私は40歳男性サラリーマンです。2年前から糖尿病とネフローゼ症候群と診断されています。まだ人工透析はしていないのですが、全身の痛みや体のふるえなどがあり現在休職中です。まもなく傷病手当金が終了するため治療費のために復職しようと考えていますが、現在のところ復職できる状態ではありません。糖尿病とネフローゼ症候群で障害厚生年金の申請はできないでしょうか。
- 透析をしていないと障害厚生年金2級の受給は難しいのでしょうか。
- 私は現在腎不全で障害厚生年金3級を受給中です。主治医よりまだ透析をする必要はないと言われていますが、先日の検査で血清クレアチニンが9.5になりました。数値的にみれば2級に該当すると思うのですが、やはり透析をしていないと2級の受給は難しいのでしょうか。
- 急に透析患者になった場合でも障害年金2級はもらえるのですか。
- 私は3か月前に急激に体調が悪くなり、会社を早退して病院を受診したところ、即入院、緊急透析となりました。それまで受診すらしたことがなかったのに、急に腎不全と言われ、すぐに透析が必要と言われて驚きました。いろいろ調べて、透析患者となった場合は障害年金2級に該当することがわかったのですが、こんなに急に透析患者になった場合でも障害年金2級はもらえるのですか。また、現在は休職していますが一応会社に在籍(厚生年金に加入)しており、職場復帰の予定もあるのですが、仕事をしていても障害年金2級はもらえるのですか。
- 人工透析のため障害基礎年金2級を受給していますが、厚生年金には加入しないといけないのでしょうか。
- 私は慢性腎不全から人工透析となったため、障害基礎年金2級を受給しています。国民年金保険料は免除されています。今度、派遣の仕事をすることになり、会社からは健康保険と厚生年金の加入を言われているのですが、加入しないといけないのでしょうか。また、加入した場合の厚生年金は、障害基礎年金にプラスして受給できるようになるのでしょうか。