拡張型心筋症で障害厚生年金2級の申請は、就労している場合は難しいでしょうか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
-
今からちょうど1年半前に息切れの症状が出現し、
総合病院で拡張型心筋症と診断されました。
障害厚生年金2級の申請を考えているのですが、
就労している場合は難しいでしょうか?
本回答は2019年8月現在のものです。
拡張型心筋症の方が就労している場合でも、障害厚生年金2級が認定される場合がありますが、
就労をしているか否かの事実のみで、2級の認定の可否が判断されるものではありません。
心疾患の認定基準は、以下の通りです。
心疾患の障害の認定について
心疾患による障害の程度は、呼吸困難、心悸亢進、尿量減少、夜間多尿、チアノーゼ、
浮腫等の臨床症状、X線、心電図等の検査成績、一般状態、治療及び病状の経過等により
総合的に認定されます。
心筋疾患の認定基準
心疾患の検査での異常検査所見は以下の通りです。
区分
異常検査所見
A
安静時の心電図において、0.2mV以上のSTの低下もしくは 0.5mV以上の深い陰性T波(aVR誘導を除く。)の所見のあるもの
B
負荷心電図(6Mets 未満相当)等で明らかな心筋虚血所見があるもの
C
胸部X線上で心胸郭係数 60%以上又は明らかな肺静脈性うっ血所見や間質性肺水腫のあるもの
D
心エコー図で中等度以上の左室肥大と心拡大、弁膜症、収縮能の低下、拡張能の制限、先天性異常のあるもの
E
心電図で、重症な頻脈性又は徐脈性不整脈所見のあるもの
F
左室駆出率(EF)40%以下のもの
G
BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)が 200pg/ml 相当を超えるもの
H
重症冠動脈狭窄病変で左主幹部に 50%以上の狭窄、あるいは、3 本の主要冠動脈に 75%以上の狭窄を認めるもの
I
心電図で陳旧性心筋梗塞所見があり、かつ、今日まで狭心症状を有するもの
(注 1) 原則として、異常検査所見があるもの全てについて、それに該当する心電図等を提出(添付)させること。
(注 2) 「F」についての補足
心不全の原因には、収縮機能不全と拡張機能不全とがある。
近年、心不全症例の約 40%はEF値が保持されており、このような例での心不全は左室拡張不全機能障害によるものとされている。しかしながら、現時点において拡張機能不全を簡便に判断する検査法は確立されていない。左室拡張末期圧基準値(5−12mmHg)をかなり超える場合、パルスドプラ法による左室流入血流速度波形を用いる方法が一般的である。この血流速度波形は急速流入期血流速度波形(E波)と心房収縮期血流速度波形(A波)からなり、E/A比が 1.5 以上の場合は、重度の拡張機能障害といえる。
(注 3) 「G」についての補足
心不全の進行に伴い、神経体液性因子が血液中に増加することが確認され、心不全の程度を評価する上で有用であることが知られている。中でも、BNP値(心室で生合成され、心不全により分泌が亢進)は、心不全の重症度を評価する上でよく使用されるNYHA分類の重症度と良好な相関性を持つことが知られている。この値が常に 100 pg/ml 以上の場合は、NYHA心機能分類で?度以上と考えられ、200 pg/ml 以上では心不全状態が進行していると判断される。
(注 4) 「H」についての補足
すでに冠動脈血行再建が完了している場合を除く。
【1級】
以下2点を満たすもの
- 病状(障害)が重篤で安静時においても、心不全の症状(NYHA心機能分類クラス4)を有する
- 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの
【2級】
以下3点を満たすもの
- 上記異常検査所見のFがある
- 病状をあらわす臨床所見が5つ以上
- 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの、または、身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の 50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
以下3点を満たすもの
- 上記異常所見のA,B,C,D,E,Gのうち2つ以上の所見がある。
- 心不全の病状をあらわす臨床所見が5つ以上ある。
- 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの、または、身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の 50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
【3級】
以下3点を満たすもの
- EF値が50%以下を示す
- 病状をあらわす臨床所見が2 つ以上ある
- 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの、または、歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの
以下3点を満たすもの
- 上記異常所見のA,B,C,D,E,Gのうち1つ以上の所見がある
- 心不全の病状をあらわす臨床所見が1つ以上ある。
- 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの、または、歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの
ご質問内容からは、検査成績や就労状況等が分かりかねますが、
周りから多くの援助や配慮を受けながら就労している場合は、
2級が認定される可能性も考えられます。
上記の認定基準を参考にしていただき、申請をご検討されてはいかがでしょうか。
◎障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
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◎社労士への依頼も合わせてご検討ください審査を受ける機会は審査請求、再審査請求を含めて3回あります。
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どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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