在宅酸素を使用し、日常生活にかなり支障があるのですが、障害年金2級はもらえないのでしょうか。

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私の母(59歳)は2年前に間質性肺炎と診断されました。
在宅酸素を使用しているため医療費がかかるので、障害年金の申請をしたいのですが、母は障害基礎年金2級の申請になるので在宅酸素ではもらえないと言われました。
障害年金の2級は、日常生活に著しい制限を受けるものとあり、母の生活も日常生活にかなり支障があるのですが、それでも障害年金はもらえないのでしょうか。
障害基礎年金の等級は1級および2級しかありません。
そのため、3級に相当する障害の状態では認定を得ることはできません。
障害基礎年金と障害厚生年金の障害等級について
- 障害基礎年金…1級および2級
- 障害厚生年金…1級、2級および3級
※症状の重さによって等級が分けられています。
※3級が最も症状が軽く、2級、1級になるにつれて症状が重く、また受給額も多くなります。
呼吸器疾患による障害において、在宅酸素療法を施行中のものについては、原則として、以下のいずれも満たしているものは、3級と認定されます。
在宅酸素療法を施行中のものについて
在宅酸素療法を施行中のものについては、原則として、以下のいずれも満たしているものは、3級と認定されます。
- 常時(24時間)の在宅酸素療法を施行中
- 軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度
なお、臨床症状、検査成績および具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定されることもあります。
そのため、障害基礎年金の申請では、認定を得ることは困難です。
たしかに、障害年金2級の基本の状態は、「日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」となっています。
しかし、上記のように、各疾患において認定基準が設けられており、その認定基準に照らし合わせて認定されます。
そのため、「日常生活にかなり支障がある」というだけでは2級の認定は得られないことがあります。
お母さまの場合、在宅酸素療法を施行中というだけでは2級の認定は困難ですが、臨床症状や検査成績によっては2級が認定される場合もあります。
例えば、呼吸不全により検査成績が中等度異常を示す場合は、2級に認定される場合があります。
呼吸器疾患の認定基準
【A表 動脈血ガス分析値】
区分
検査項目
単位
軽度異常
中等度異常
高度異常
1
動脈血O2分圧
Torr
70~61
60~56
55以下
2
動脈血CO2分圧
Torr
46~50
51~59
60以上
(注)病状判定に際しては、動脈血 O2分圧値を重視する。
【B表 予測肺活量1秒率】
検査項目
単位
軽度異常
中等度異常
高度異常
予測肺活量1秒率
%
40~31
30~21
20以下
【1級】
以下2点を満たすもの
- 上記A表及びB表の検査成績が高度異常を示すもの
- 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの
【2級】
以下2点を満たすもの
- 上記A表及びB表の検査成績が中等度異常を示すもの
- 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の 50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの、または、歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの
【3級】
以下2点を満たすもの
- 上記A表及びB表の検査成績が軽度異常を示すもの
- 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの、または、軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの
お母さまの検査成績等が上記2級以上に該当する程度であれば、障害基礎年金の認定が得られる可能性が考えられます。
参考にしていただき、申請をご検討されてはいかがでしょうか。
(本回答は2022年4月現在のものです。)
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このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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