軽度難聴の場合、障害年金とか保険料をかける対象に入るんでしょうか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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先日聴力検査した所、 一番軽い等級に、ぎりぎり入ると言われました。
職場でも、日常生活でも、不自由を感じる事が多いです。
老後は聞こえない、という身体になるかもしれないし、
軽度難聴の場合、障害年金とか保険料をかける対象に入るんでしょうか?
本回答は2017年7月現在のものです。
公的年金は、日本国内に住所のある20歳以上のすべての人が加入を義務づけられています。
これは、障害年金を受給するためだけに加入するのではなく、
歳をとった時の老齢年金や、
ご自身が亡くなった時に家族が受け取る遺族年金のためでもあります。
加入と同時に保険料の納付をする義務が発生します。
保険料については、
「いくらが老齢年金の分」「いくらが障害年金の分」といったものではありません。
国民年金第1号被保険者であれば、毎月、保険料を納めることが必要です。
なお、保険料を納めることが難しいときは、申請免除や納付猶予制度などがあります。
また、障害年金2級以上の受給権を得た場合は、法定免除となります。
国民年金保険料の法定免除について
障害基礎年金の認定が得られると、
認定された日を含む月の前月の保険料から法定免除となります。
受給決定後、すみやかに「国民年金保険料免除事由該当届」を提出する必要があります。
申請免除とは
国民年金の第1号被保険者本人、保険料連帯納付義務者である世帯主・配偶者のいずれもが、
以下のいずれかに該当するときは、申請して承認を受ければ、
保険料の全額または一部の納付義務が免除されます。
- 所得が低いとき
- 本人またはその世帯の人が生活保護の生活扶助以外の扶助を受けているとき
- 保険料の納付が著しく困難なとき等
※申請免除には全額免除と3/4免除、半額免除、1/4免除があります。
なお、国民年金保険料が免除となっている期間については、
老齢基礎年金の額は、2分の1を納付したものとして計算されますが、
手続きをせず、未納となった場合2分の1は受け取れません。
ご質問内容から、身体障害者手帳6級に該当する程度であると推察いたします。
聴覚障害6級の程度は、以下の通りです。
- 両耳の聴力レベルが70デシベル以上のもの(40センチメートル以上の距離で発声された会話語を理解し得ないもの)
- 一側耳の聴力レベルが90デシベル以上、他側耳の聴力レベルが50デシベル以上のもの
一方、障害年金の聴覚障害の認定基準は、以下の通りです。
聴覚障害の認定基準
【1級】
- 両耳の聴力レベルが100デジベル以上のもの
【2級】
- 両耳の聴力レベルが90デジベル以上のもの
- 両耳の平均純音聴力レベル値が80デジベル以上で、かつ、最良語音明瞭度が30%以下のもの
【3級】
- 両耳の平均純音聴力レベル値が70デジベル以上のもの
- 両耳の平均純音聴力レベル値が50デジベル以上で、かつ、最良語音明瞭度が50%以下のもの
- 一耳の平均純音聴力レベル値が80デジベル以上で、かつ、症状が固定していないもの
身体障害者手帳6級の障害の程度であれば、障害年金3級に相当する可能性が考えられます。
障害年金3級は厚生年金にしかない等級です。
初診日において厚生年金に加入していたのであれば、
障害厚生年金の申請が可能となり、受給の可能性も考えられます。
初診日とは
初診日とは、障害の原因となった傷病について、
初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
障害厚生年金か障害基礎年金か
障害厚生年金を受給できるか、障害基礎年金の受給となるかは、
初診日に加入していた年金制度によって決まります。
- 初診日が厚生年金被保険者期間中にある場合は、障害厚生年金
- 初診日が国民年金被保険者期間中にある場合は、障害基礎年金
- 初診日が20歳前または60歳以上65歳未満(国内に住んでいる方のみ)の年金未加入期間にある場合は、障害基礎年金
障害基礎年金と障害厚生年金の障害等級について
- 障害基礎年金…1級および2級
- 障害厚生年金…1級、2級、3級および障害手当金
「保険料納付要件」とは
初診日の前日において以下の1または2を満たしている必要があります。
- 初診日の属する月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納期間がないこと
※20歳前に初診日がある場合は、保険料納付要件は問われません。
「障害認定日要件」とは
障害認定日において、一定以上の障害状態にあるかどうかで判断されます。
※障害認定日とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 初診日から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
障害年金の支給要件を満たしているのであれば、
申請を検討されてはいかがでしょうか。
障害年金の申請について
障害の状態によって等級が決まりますが、
提出書類によって、2級相当の状態なのに3級となったり不支給となったり
というケースが数多くあります。
そのため関連書籍をご購入の上、申請されることをお勧めします。
審査のチャンスは審査請求、再審査請求を含めて3回ありますが、
1度目に不支給となると再審査請求で支給が決定するのは14.7%となっています。
慎重にご準備ください。
申請の流れはこちらにて解説していますので、ご参考にしてください。
社労士への依頼も合わせてご検討ください
よりスムーズに認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
私は元厚生労働省の事務官ですので、
役所の論理・理屈を理解しており、これまで90%以上の確率で認定を得ています。
もし社労士への依頼を検討される場合は、こういった点も合わせてお考えください。
疑問などがございましたら、下記お問い合わせフォームからお気軽にご質問ください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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