拡張型心筋症で障害基礎年金を受給することは難しいのでしょうか。

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
-
私は5年前の35歳の時に拡張型心筋症になりました。
当時は建築の現場仕事でそれなりに収入があったのですが、病気になってから肉体労働は無理だと言われ、現在は運送屋の事務の仕事をしています。
先日障害者手帳4級を取得した際に、障害基礎年金のことを聞きましたが、私の場合国民年金しか入ったことがないので受給することは難しいと言われました。
拡張型心筋症で障害基礎年金を受給することは難しいのでしょうか。
拡張型心筋症で障害基礎年金を受給することは難しい、ということはありません。
検査成績や一般状態が認定基準に該当する程度であれば、受給することは可能です。
ただし、障害基礎年金の請求では、障害の状態が1級もしくは2級に相当しなければ受給ができません。
障害厚生年金か障害基礎年金か
障害厚生年金を受給できるか、障害基礎年金の受給となるかは、初診日に加入していた年金制度によって決まります。
- 初診日が厚生年金被保険者期間中にある場合は、障害厚生年金
- 初診日が国民年金被保険者期間中にある場合は、障害基礎年金
- 初診日が20歳前または60歳以上65歳未満(国内に住んでいる方のみ)の年金未加入期間にある場合は、障害基礎年金
※初診日とは…障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
障害基礎年金と障害厚生年金の障害等級について
- 障害基礎年金…1級および2級
- 障害厚生年金…1級、2級および3級
※症状の重さによって等級が分けられています。
※3級が最も症状が軽く、2級、1級になるにつれて症状が重く、また受給額も多くなります。
拡張型心筋症などの心疾患による障害の程度について
拡張型心筋症などの心疾患による障害の程度は、
- 呼吸困難、心悸亢進、尿量減少、夜間多尿、チアノーゼ、浮腫等の臨床症状
- X線、心電図等の検査成績
- 一般状態、治療および病状の経過
等により、総合的に認定されます。
心筋疾患の認定基準
心疾患の検査での異常検査所見は以下の通りです。
区分
異常検査所見
A
安静時の心電図において、0.2mV以上のSTの低下もしくは 0.5mV以上の深い陰性T波(aVR誘導を除く。)の所見のあるもの
B
負荷心電図(6Mets 未満相当)等で明らかな心筋虚血所見があるもの
C
胸部X線上で心胸郭係数 60%以上又は明らかな肺静脈性うっ血所見や間質性肺水腫のあるもの
D
心エコー図で中等度以上の左室肥大と心拡大、弁膜症、収縮能の低下、拡張能の制限、先天性異常のあるもの
E
心電図で、重症な頻脈性又は徐脈性不整脈所見のあるもの
F
左室駆出率(EF)40%以下のもの
G
BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)が 200pg/ml 相当を超えるもの
H
重症冠動脈狭窄病変で左主幹部に 50%以上の狭窄、あるいは、3 本の主要冠動脈に 75%以上の狭窄を認めるもの
I
心電図で陳旧性心筋梗塞所見があり、かつ、今日まで狭心症状を有するもの
【1級】
以下2点を満たすもの
- 病状(障害)が重篤で安静時においても、心不全の症状(NYHA心機能分類クラス4)を有する
- 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの
【2級】
以下3点を満たすもの
- 上記異常検査所見のFがある
- 病状をあらわす臨床所見が5つ以上
- 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの、または、身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の 50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
以下3点を満たすもの
- 上記異常所見のA,B,C,D,E,Gのうち2つ以上の所見がある。
- 心不全の病状をあらわす臨床所見が5つ以上ある。
- 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの、または、身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の 50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
【3級】
以下3点を満たすもの
- EF値が50%以下を示す
- 病状をあらわす臨床所見が2 つ以上ある
- 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの、または、歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの
以下3点を満たすもの
- 上記異常所見のA,B,C,D,E,Gのうち1つ以上の所見がある
- 心不全の病状をあらわす臨床所見が1つ以上ある。
- 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの、または、歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの
上記のように、心筋疾患の1級および2級の一般状態は、身のまわりのことができない、もしくはある程度のことはできても外出等が不可能、軽労働はできないもの、となっています。
上記状態に当てはまり、検査成績等が認定基準に該当する程度であれば、障害基礎年金が受給できる可能性が考えられます。
(本回答は2022年3月現在のものです。)
障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
当サイトでは1分で障害年金をもらえるか、カンタン査定をいたします。
◎社労士への依頼も合わせてご検討ください
審査を受ける機会は審査請求、再審査請求を含めて3回あります。
しかし、1度目の請求で認められない場合、2度目以降で決定が覆るのは、たった14.7%となっています。より確実に認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
こちらも合わせてご検討ください。疑問などがございましたら、下記よりお気軽にお問い合わせください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
06-6429-6666
平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
拡張型心筋症に関するその他のQ&A
- 障害者手帳を勧められるということは、障害年金ももらえるということでしょうか。
- 私は2年前に拡張型心筋症になりました。肉体労働はセーブされているため、障害者手帳を取って障害者枠で働いたらどうかと主治医に勧められました。障害者手帳を勧められるということは、障害年金ももらえるということでしょうか。
- 現在も仕事は続けており厚生年金に加入しているため、更新で障害厚生年金3級の額は増えるでしょうか。
- 私は50歳の時に拡張型心筋症と診断され、1年後の51歳の時に心臓ペースメーカーを植え込み、その時から障害厚生年金3級が支給されています。今度更新があるのですが、まだ心臓ペースメーカーを植え込んでいるので3級が継続されると思います。しかし、現在も仕事は続けており厚生年金に加入しているため、更新で障害厚生年金3級の額は増えるでしょうか。
- 国民年金の保険料はきちんと納めていますので、拡張型心筋症で障害年金を受給することはできるでしょうか。
- 私(50歳)は昨年に拡張型心筋症と診断されました。20歳から10年間は厚生年金に加入していたのですが、その後は脱サラして個人事業主となったので国民年金に加入しています。保険料はきちんと納めています。このような状況ですが、障害年金を受給することはできるでしょうか。
- 仕事をしている状態で申請をしても障害基礎年金はもらえないのでしょうか。
- 私は4年前から拡張型心筋症を患っています。障害基礎年金の受給を考えているのですが、主治医からは仕事を辞めないともらえないと言われています。私は自営業で工場を一人で経営しており、辞めたらそれこそ生活ができません。障害基礎年金が受給できるようになれば工場を閉めようと考えているのですが、仕事をしている状態で申請をしても障害基礎年金はもらえないのでしょうか。
- 拡張型心筋症で障害厚生年金3級ですが、うつ病でも障害厚生年金が受給できるでしょうか。
- 夫は拡張型心筋症で障害厚生年金3級を受給しております。年齢は55歳で、会社を早期退職し、現在は短時間のアルバイトをしています。以前はバリバリ働いていたのに、今は病気もあり仕事もアルバイトでやりがいもなく、休みの日は家に引きこもり、何をするでもなくふさぎ込んでおります。まだ精神科には行っていませんが、うつ病のような症状もあります。もしうつ病と診断された場合は、うつ病でも障害厚生年金3級が受給できるでしょうか。