急性リンパ性白血病で傷病手当金や障害年金などの手続きはどのようにすればよいのでしょうか。

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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先日、夫が急性リンパ性白血病になりました。
突然のことでどうしたらいいかわからず、とりあえず会社は休職していますが、有給扱いなのか欠勤なのかよくわかりません。
夫の会社は零細企業なので、福利厚生がきちんとしているのかわかりませんし、どのような制度が受けられるか、詳しい人がいるのかもわかりません。
いろいろ調べて、傷病手当金や雇用保険、障害年金などが出てきたのですが、どのような順番でどのような手続きをすればよいのでしょうか。
突然の事態に大変な思いをされていることが拝察されます。
まず、有給扱いなのか欠勤なのか、また、傷病手当金が受給できるのか、その手続き方法等については、勤務先にご確認ください。
また、雇用保険については、退職後の手続きになりますので、退職となった場合に、勤務先もしくはハローワークにお問い合わせください。
傷病手当金の支給要件
傷病手当金の支給要件は以下4点となります。
- 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
- 仕事に就くことができないこと
- 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
- 休業した期間について給与の支払いがないこと
※傷病手当金が支給される期間は、支給開始した日から最長1年6ヵ月です。
障害年金については、初診日から1年6か月経過した日(障害認定日)以降、申請が可能となります。
その時点で障害の状態が認定基準に該当する程度であれば、障害年金が受給できます。
初診日とは
障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
障害認定日とは
障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 初診日から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
白血球系・造血器腫瘍疾患(白血球、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫等)の認定基準
障害の程度
障害の状態
1級
A表1欄に掲げるうち、いずれか1つ以上の所見があり、B表1欄に掲げるうち、いずれか1つ以上の所見があるもので、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの
2級
A表2欄に掲げるうち、いずれか1つ以上の所見があり、B表2欄に掲げるうち、いずれか1つ以上の所見があるもので、かつ、一般状態区分表のエ又はウに該当するもの
3級
A表3欄に掲げる所見があり、B表3欄に掲げる所見があるもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの
A表
区分
臨床所見
1
- 発熱、骨・関節痛、るい瘦、貧血、出血傾向、リンパ節腫脹、易感 染症、肝脾腫等の著しいもの
- 輸血をひんぱんに必要とするもの
- 治療に反応せず進行するもの
2
- 発熱、骨・関節痛、るい瘦、貧血、出血傾向、リンパ節腫脹、易感染症、肝脾腫等のあるもの
- 輸血を時々必要とするもの
- 継続的な治療が必要なもの
3
継続的ではないが治療が必要なもの
※A表に掲げる治療とは、疾病に対する治療であり、輸血などの主要な症状を軽減するための治療(対処療法)は含まない。
※A表に掲げる治療に伴う副作用による障害がある場合は、その程度に応じて、A表の区分を2以上とする(CTCAEのグレード2以上の程度を参考とする。)。
B表
区分
検査所見
1
- 末梢血液中のヘモグロビン濃度が7.0g/dl未満のもの
- 末梢血液中の血小板数が 2 万/μl未満のもの
- 末梢血液中の正常好中球数が 500/μl未満のもの
- 末梢血液中の正常リンパ球数が 300/μl未満のもの
2
- 末梢血液中のヘモグロビン濃度が7.0g/dl以上 9.0g/dl未満のもの
- 末梢血液中の血小板数が 2 万/μl以上 5 万/μl未満のもの
- 末梢血液中の正常好中球数が 500/μl以上 1,000/μl未満のもの
- 末梢血液中の正常リンパ球数が 300/μl以上 600/μl未満のもの
3
- 末梢血液中のヘモグロビン濃度が9.0g/dl以上10.0g/dl未満のもの
- 末梢血液中の血小板数が 5万/μl以上10万/μl未満のもの
- 末梢血液中の正常好中球数が 1,000/μl以上 2,000/μl未満のもの
- 末梢血液中の正常リンパ球数が 600/μl以上 1,000/μl未満のもの
一般状態区分表
区分
一般状態
ア
無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの
イ
軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの。 例えば、軽い家事、事務など
ウ
歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの
エ
身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の 50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
オ
身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの
ご質問内容から、障害認定日はまだ到来していないことが拝察されます。
障害認定日の時点で、上記の認定基準に該当する程度であれば、障害年金の申請についてご検討されてはいかがでしょうか。
※令和4年1月1日から、健康保険の傷病手当金の支給期間が支給開始日から「通算して1年6か月」になります。
(本回答は2021年11月現在のものです。)
障害年金の申請について
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このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
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