母は第3号被保険者ですので国民年金を払っていないのですが、障害年金は受給できるのでしょうか。

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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母は2年前の55歳の時に、乳がんのため左胸全摘手術を受けました。
今はその後遺症で左腕が動かなくなりました。
母は専業主婦ですので、第3号被保険者です。
国民年金を払ってないのですが、障害年金を受給することはできるのでしょうか。
第3号被保険者は国民年金保険料を直接納めてはいませんが、未納ではありません。
保険料は、配偶者が加入している厚生年金や共済組合が一括して負担しますので、個別に納める必要はありません。
第3号被保険者とは
第2号被保険者に扶養されている配偶者の方で、原則として年収が130万円未満の20歳以上60歳未満の方。保険料の本人負担はなく、第2号被保険者と同じ保険給付を受けることができます。
障害年金を受給するための要件のひとつに「保険料納付要件」がありますが、初診日よりも1年以上前から第3号被保険者であれば、この保険料納付要件を満たしているでしょう。
お母さまの場合も、乳がんのために初めて医療機関を受診した日(初診日)よりも1年以上前から専業主婦で、第3号被保険者であった場合は、保険料納付要件を満たしているでしょう。
保険料納付要件とは
初診日の前日において以下の1または2を満たしている必要があります。
- 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
※ただし、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件はありません。
初診日とは
障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
お母さまの場合、乳がんの治療の後遺症で左腕が動かなくなったとのことですが、上肢の機能障害の認定基準によって審査される可能性が考えられます。
また、上肢の機能障害以外に、全身の衰弱等がある場合は、悪性新生物の認定基準によって審査される可能性が考えられます。
いずれも1級もしくは2級に該当する場合、障害基礎年金の受給が可能となります。
次の認定基準を参考にしていただき、申請をご検討されてはいかがでしょうか。
一上肢の機能障害の認定基準
【2級】
- 一上肢の機能に著しい障害を有するもの。
具体的には、一上肢の3大関節中いずれか2関節以上の関節が、
- 不良肢位で強直しているもの
- 関節の他動可動域が、健側の他動可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの
- 筋力が著減または消失しているもの
【3級】
- 一上肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの。
「用を廃したもの」とは、関節の他動可動域が健側の他動可動域の2分の1以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すものをいう。
- 一上肢の機能に相当程度の障害を残すもの。
例えば、一上肢の3大関節中1関節が不良肢位で強直しているもの
【障害手当金】
- 一上肢の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害を残すもの。
「関節に著しい機能障害を残すもの」とは、関節の他動可動域が健側の他動可動域の3分の2以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すものをいう。
例えば、常時ではないが、固定装具を必要とする程度の動揺関節、習慣性脱臼をいう。
悪性新生物の認定基準
【1級】
- 著しい衰弱又は障害のため、身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの
【2級】
- 衰弱又は障害のため、身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
- 衰弱又は障害のため、歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
【3級】
- 著しい全身倦怠のため、歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
- 著しい全身倦怠のため、軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの。 例えば、軽い家事、事務など
(本回答は2022年1月現在のものです。)
障害年金の申請について
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このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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