15年前を初診とし、さかのぼって化学物質過敏症で障害年金を請求したいのですが、難しいでしょうか?

- 詳しいプロフィール
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
- 2015年:独立し、中井事務所を設立
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私は15年ほど前の高校生の時に交通事故に遭い、
その時から関節痛や神経痛など様々な不定愁訴が出るようになりました。
その時から神経内科や整形外科を受診していたのですが、
半年前に大学病院で検査をした結果、化学物質過敏症と診断されました。
今思えば、15年前から頭痛や腹痛などもあり、
この病気の前触れだったのではないかと考えています。
15年前を初診とし、さかのぼって障害年金を請求したいのですが、難しいでしょうか?
本回答は2019年7月現在のものです。
15年前の交通事故と化学物質過敏症に、相当因果関係がある場合は、
15年前を初診日として申請することができますが、
相当因果関係がない場合は、
半年前に大学病院で検査をした時が初診日になる可能性が考えられます。
その場合は、まだ障害認定日は到来していないため、
障害認定日の到来を待って申請することになります。
相当因果関係とは
前の疾病または負傷がなかったならば、
後の疾病が起こらなかったであろうと認められる場合は、
相当因果関係ありと見て前後の傷病を同一傷病として取り扱います。
そのため初診日は、
前の疾病または負傷について初めて医師等の診療を受けた日となります。
初診日とは
障害の原因となった傷病について、
初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
具体的には次のような場合が初診日とされます。
- 初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)
- 同一の傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日
- 過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
- 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
- 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日
※ただし、知的障害の場合は、出生日が初診日となります。
障害認定日とは
障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 初診日から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
また、15年前を初診日として申請できた場合、
事後重症請求は可能であることが考えられますが、
さかのぼって請求(遡及請求)することは難しいことが考えられます。
事後重症請求とは
傷病により障害の状態にあるものが、障害認定日において
障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなかった場合でも、
その後、状態が悪化し、障害等級に該当する障害の状態となった場合、
65歳に達する日の前日までに裁定請求をすることができます。
これを事後重症請求といいます。
遡及請求とは
遡及請求とは、障害認定日に障害等級に該当しているが、
知らなかったなどの理由で、障害認定日から1年以上経過して請求するものです。
障害認定日から3か月以内の診断書を取得することができれば、
遡及請求を行うことができます。
ご質問者様の場合、15年前は高校生だったとのことですので、
障害認定日は20歳の誕生日になります。
その時点では、まだ化学物質過敏症とは診断されていないため、
化学物質過敏症で遡及することは難しいでしょう。
20歳前傷病の障害基礎年金の障害認定日
20歳前傷病の障害基礎年金の障害認定日は、
- 20歳の誕生日
- 請求する傷病の初診日から起算して1年6か月を経過した日
のいずれか遅い方となります。
障害年金の申請では、障害の状態と同じくらい初診日の特定が重要になります。
初診日が特定できれば、下記の認定基準を参考にしていただき、
申請をご検討されてはいかがでしょうか。
なお、化学物質過敏症については、
他の障害とは異なり、診断書に添付していただく補足資料として、
「化学物質過敏症用の照会様式」を提出する必要があります。
問診により、臨床経過や症状、化学物質暴露による反応などを、
主治医に記載していただく照会様式となっています。
化学物質過敏症の認定基準について
【1級】
- 身体の機能に障害又は長期にわたる安静を必要とする症状があり、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの、たとえば、障害の程度は、生活環境内の化学物質によって、動けなくなるほどの筋肉痛や脱力感、頭痛、易疲労、嘔吐、下痢、呼吸困難、動悸、視力低下、湿疹などの多様な症状が出現するため、日常生活は全介助の状況である。また、身の回りのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの
【2級】
- 日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの、たとえば、血液・生化学検査にて異常はないが、動けなくなるほどの頭痛、めまい、動悸、吐き気、倦怠感、のどや眼の痛みなどの症状が化学物質により容易に誘発、増悪し、日常生活に著しい支障が生じ、就労は全くできない。身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
【3級】
- 労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のもの、たとえば、障害の程度は、洗剤、シャンプー、香水、芳香剤など日常にありふれた臭気でめまい、視覚異常、嘔吐、脱力、集中力低下、うつ状態などの症状があり、週のうち数日自宅にて安静が必要になるため、ほとんど外出できない。歩行や身の回りのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
◎障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
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◎社労士への依頼も合わせてご検討ください
審査を受ける機会は審査請求、再審査請求を含めて3回あります。
しかし、1度目の請求で認められない場合、2度目以降で決定が覆るのは、たった14.7%となっています。より確実に認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
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障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
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平日9:00~18:00
このQ&Aの回答者
- 2004年:厚生労働省入省
- 2008年:社労士資格を取得
- 2012年:西宮市の社労士事務所に就職
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