統合失調症の障害年金請求について
阿部 久美のブログ

今日は、統合失調症と診断されて3年になる27歳の女性のお父様から、障害年金の請求の仕方についてお問い合わせをいただきました。
1.障害年金の申請のスタートは、「初診日」の特定です。「初診日」は障害年金独特でかつ極めて重要な概念です。
初診日とは、初めて病院を受診した日のことを言います。診断が確定した日、ではありません。
この女性の場合は、初めて精神科を受診した日が初診日になることが考えられます。
ただし、はじめは内科・婦人科等で睡眠薬をもらっていたが、精神科に転院した、というケースでは、内科で精神疾患を疑われて睡眠薬を処方された日が初診日になることもあります。
初診日の特定ができたら、その病院で受診状況等証明書(初診日の証明書)を作成してもらいましょう。
初診日の病院がすでに閉院していてなかったり、ご本人が転居されて、簡単には行けないほど遠いところにある場合には、様々な手法がありますのでご相談ください。
2.次に、初診日の特定ができたら、その時点の「保険料納付要件」を確認しましょう。
国民年金保険料を毎月納めていれば問題はありませんが、納めていない期間がある場合は、障害年金の申請ができない場合があります。
また、初診日よりも後に納めても、要件を満たすことにはなりません。
具体的には、次の通りです。
保険料納付要件とは
初診日の前日において以下の1または2を満たしている必要があります。
- 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
※ただし、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件はありません。
3.保険料納付要件が確認できれば、障害認定日の診断書を取得しましょう。
障害認定日とは、原則として、初診日から1年6か月経過した日です。
それ以前に治っている場合は治った日が障害認定日になりますが、統合失調症の場合は、原則通り、初診日から1年6か月経過した日になります。
障害認定日の時点では通院していなかった、或いは症状が軽快していたが、その後、再び、悪化して現在に至っている場合には、請求提出前3か月以内の診断書を作成してもらい、請求します。これを「事後重症請求」と呼びます。因みに事後重症請求は65歳のお誕生日の前々日までに行うことが要件ですが、この女性の場合には全く大丈夫です。
4.病歴・就労状況等申立書などの書類を作成し、年金手帳などの資料とあわせて提出します。
このように申請が行われた後は、3か月程で結果が通知され、うまく認定が得られた場合は年金が支給されます。
この女性の場合、統合失調症と診断されて3年経過しているとのことですので、障害年金が申請できる時期は過ぎていることが考えられます。
申請に必要な書類は、年金事務所などでもらうことができますので、申請をご検討されてはいかがでしょうか、とお話ししました。
なお、認定が得られるかについては、診断書や病歴就労状況等申立書などの書類から判断されます。
障害年金は、障害の状態がおおむね以下の状態だと受給ができます。
- 3級…労働に著しい制限があるもの
- 2級…日常生活に著しい制限があるもの
- 1級…他人の介助がなければほとんど自分の用事を済ませることができないもの
※症状の重さによって等級が分けられています。
※3級が最も症状が軽く、2級、1級になるにつれて症状が重く、また受給額も多くなります。
統合失調症によるものにあっては、人格変化や妄想・幻覚などの異常体験があるために、どのくらい労働や日常生活に支障があるかについても審査されます。
精神の障害で審査される主な項目について
日常生活動作、即ち、
- 適切な食事
- 身辺の清潔保持
- 金銭管理と買い物
- 通院と服薬
- 他人との意思伝達及び人間関係
- 身辺の安全保持及び危機対応
- 社会性
の7つの項目についてそれぞれ4段階で評価しその平均と総合評価(日常生活能力の程度)の組み合わせで目安が立てられます。
上記を目安に働けているかどうかや生活環境(一人暮らしができているか)等を考慮して、総合的に判定されます。
一般企業で働いている場合(障害者雇用制度による就労を含む)でも仕事の内容が、管理者や指導員の常時の見守りの下での単純かつ反復的な作業であり、他の従業員との意思疎通が困難で、状況にそぐわない行動がある時は、働いていることをもって日常生活能力が向上したとは見ません。
また、一人で生活している場合であっても親兄弟や生活指導員などが頻繁に訪問し、サポートしている場合には一人暮らしができているとは見なしません。
医師に状況を伝えることが大切です。
上記日常生活の状況(何ができて何ができないのか)や就労状況、一人暮らしの場合は受けているサポートを、診断書作成医にしっかり伝え、診断書の評価に反映してもらうことが大切です。
必要に応じて職場の上司や管理者、肉親や支援員の方に状況を説明する書面の作成をお願いし参考資料として提出する場合もあります。
当方では、初めて受診した日の特定から、受給の可能性があるかの判断、どのように申請作業を進めるか、そして申請、受給までフルサポートを行っております。
ささいな疑問でも遠慮なくお問い合わせください。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
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