77歳男性、多系統萎縮症の症状が進行
阿部 久美のブログ

今朝の新聞に、77歳の男性で、従来から罹患していた多系統萎縮症が進行し、車いす生活を余儀なくされるようになったが、障害年金の対象にならないかという質問が載っていました。
多系統萎縮症は厚生労働省の指定難病17です。そしてこの男性は老齢基礎年金を受給中です。
老齢基礎年金と障害年金は、併給できません。双方の受給権がある場合は、どちらか有利な方を選択することになります。
また、障害年金は原則として、65歳の誕生日の2日前までに申請しなければなりません。65歳以降でも申請できる場合は以下に限られます。
65歳以降でも障害年金を申請できる場合
- 初診日が、65歳の2日前までにあり、障害認定日の障害状態が障害等級に該当している場合
- 前発傷病と後発傷病を併せて、65歳前にはじめて2級となった場合
- 初診日において国民年金の任意加入者であった場合
- 初診日において厚生年金加入中であった場合
上記1の通り、65歳の前からの障害の状態なら65歳を過ぎてからでも申請できます。しかし、1により申請するためには遡及請求をしなければなりません。
遡及請求とは
遡及請求とは、障害認定日に障害等級に該当しているが、知らなかったなどの理由で、障害認定日から1年以上経過して請求するものです。障害認定日から3か月以内の診断書を取得することができれば、遡及請求を行うことができます。
障害認定日とは
障害認定日とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 初診日から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
初診日とは
初診日とは、障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
多系統萎縮症は進行性の病気のため、初診日を特定することが困難なケースがあります。障害年金の申請を行う場合は、まず初診日を確認しましょう。
初診日の時点で保険料納付要件を満たし、障害認定日の時点で下記の認定基準に該当する程度であった場合は、障害年金の受給権が得られる可能性が考えられます。
保険料納付要件とは
初診日の前日において以下の1または2を満たしている必要があります。
- 初診日の属する月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納期間がないこと
※20歳前に初診日がある場合は、保険料納付要件は問われません。
多系統萎縮症のため、肢体の機能に障害がある場合は、以下の認定基準により審査されることが考えられます。
肢体の障害の認定基準
【1級】
· 一上肢及び一下肢の用を全く廃したもの
· 四肢の機能に相当程度の障害を残すもの
【2級】
· 一上肢及び一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの
· 四肢に機能障害を残すもの
【3級】
· 一上肢及び一下肢に機能障害を残すもの
平衡機能の障害の認定基準
【2級】
· 閉眼で起立・立位保持が不能又は開眼で直線を歩行中に10メートル以内に転倒あるいは著しくよろめいて歩行を中断せざるを得ない程度のもの
【3級】
· 閉眼で起立・立位保持が不安定で、開眼で直線を10メートル歩いたとき、多少転倒しそうになったりよろめいたりするがどうにか歩き通す程度のもので、労働能力が明らかに半減しているもの
· めまいの自覚症状が強く、他覚所見として眼振その他平衡機能検査の結果に明らかな異常所見が認められ、かつ、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のもので、症状の固定していないもの
この男性の場合、常時車いすの生活を与儀なくされているとのことですから、下肢の障害の規定が適用され障害の程度は1級に相当すると考えられます。
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