鳴門市在住の女性、人口膝関節手術についてのご相談
阿部 久美のブログ

ひざの関節の軟骨がすり減ったり、炎症が起きひざに痛みが出て、その痛みが悪化して日常生活に支障が出た場合の治療法の一つに、人工膝関節へ置き換える手術があり、年間約10万件行われているそうです。
最近は手術支援ロボットを使い、赤外線を反射させ、膝の位置を正確にとらえ、医師が骨を適切に切除したり、人工関節を正確な位置に設置できたりするように支援できるようになったため、従来より格段に高い精度での人工関節置換が可能になったそうです。
患者にとっては福音ですが、一方、人工(膝)関節置換術で障害年金を受給できる方には一定の条件があります。
今日は、鳴門市在住で最近人工膝関節置換術を施行された方からご相談いただきました。
この女性は1年前に事故で左足を負傷し、先日人工股関節術を行いました。
障害年金3級がもらえると聞き年金事務所に行きましたが「事故に遭った日が初診日になるが、その時点で保険料の未納期間があるので申請できない」と言われたそうです。
この女性は小学生の頃に一度股関節の手術をしたことがあるらしいのですが、その時を初診日として申し立てれば障害年金の申請ができ、3級の年金が受給できるのではなかというご相談です。
ご質問内容から、子どもの頃に手術をした日を初診日として申請をすることは、難しく、また仮にその日を初診日として申請ができたとしても、障害年金を受給することは難しいでしょう、とお伝えしました。
まず、人工股関節となった原因は事故で足を負傷したためであり、子どもの頃の手術と現在の人工股関節とは相当因果関係はない場合、子どもの頃を初診日と主張して申請しても、その日が初診日として認められることは難しく、従って認定を得ることも難しいことが考えられます。
初診日とは
障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
具体的には次のような場合が初診日とされます。
- 初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)
- 同一の傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日
- 過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
- 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
- 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日
※ただし、知的障害の場合は、出生日が初診日となります。
相当因果関係とは
前の疾病または負傷がなかったならば、後の疾病が起こらなかったであろうと認められる場合は、相当因果関係ありと見て前後の傷病を同一傷病として取り扱います。
また仮に、子どもの頃が初診日であると認められたとしても、その場合は20歳前傷病の障害基礎年金の請求となり、2級以上に認定されないと受給できません。
人工関節をそう入置換したものについては、原則として3級と認定されるため、20歳前傷病の障害基礎年金の請求で認定を得ることはできません。
20歳前傷病の障害基礎年金とは
先天性の病気などにより20歳前から障害があり、初診日が、20歳前(年金制度に加入していない期間)にあり、かつ、障害の状態が認定基準に該当する場合には、障害基礎年金を受けることができます。
等級は1級と2級があり、障害の程度によって決められます。
※初診日とは、出生直後に、あるいは乳幼児期の健康診断(6ヶ月〜3歳時健診)、または養護学校、更生相談所等の各種検査のいずれかにおいて、医師または歯科医師の診断により、20歳までに障害が確認されている場合や、療育手帳等が交付されている場合を含みます。
残念ながら、人工股関節で障害年金を受給することは難しいでしょう、とお話ししました。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
090-5146-8064
平日9時~18時