うつ病女性の再審査請求趣旨と理由
阿部 久美のブログ

うつ病を原因とした障害認定日請求を行いましたが裁定請求で不支給とされ審査請求も棄却されました。
いずれも理由は、障害認定日より8か月経過した時点で職場復帰できていることを主たる理由とするという、俄かには信じがたいものです。
再審査請求の趣旨と理由を掲載します。
【趣旨】前決定を取消し国民年金法施行令別表並びに厚生年金法施行令別表に規定する
障害の程度に該当する旨決定し年金を支給せよ。
【理由】1、平成28年9月1日より運用開始された精神の障害に係る等級判定ガイドラインは第1趣旨・目的において、このガイドラインが認定による地域差が生じないようにするために導入され、認定が「障害認定基準」に基づき適正に行われるよう改善を図ることを目的とすると謳っている。
2、本件請求事由は「うつ病」であり上記ガイドラインの運用対象であることは明らかである。
3、本件不支給の理由として、保険者並びに○○厚生局社会保険審査官○○○○は現症日(平成21年2月24日)より半年以上経過した同年10月1日に復職し、傷病復職者専用の部署に配属され8か月後に開発部署、管理部署に配属されていたことを挙げている。
4、一方、同ガイドラインの適用を受ける別の案件(○○発○○第○○号)において○○厚生局(上記とは別の厚生局)社会保険審査官○○○○は以下の判断を示し、不支給とした原処分を取り消している。「就労に関しては、たとえ、障害認定基準の精神障害の認定要領が、統合失調症によるものは『発病時からの療養及び症状の経過を十分考慮する。』とされているとしても考慮すべきは、発病から障害を認定する時期までの病状の経過等であり、障害を認定する時期以降の病状については、同認定基準の障害認定に当たっての基本的事項によれば、『「傷病が治らないもの」の障害の程度の認定に当たっては、障害の程度の認定時期以降おおむね1年以内に、その状態の変動が明らかに予測されるときは、その予測される状態を勘案して認定を行う。』とされており、○○医師は予後を「長期の療養を要する。」としているのみであり、障害認定日において、請求人が明らかに一般雇用として就労できるようになるということを予測できたとは言い難い。このような事例は、障害認定日において受給権を取得する程度の障害にあった障害基礎年金受給者が、その後障害の程度が軽快したとして、国年法第36条第2項による支給停止を適用するかどうかの問題であって、原処分のように、障害認定日における障害の状態を国年令別表に該当しないとすることは適切でない。」
5、本件において診断書作成医は、障害認定日現症における予後を「不明」としており、4の事例と同様に、請求人が明らかに一般雇用として就労できるようになるとは全く予測していない。
6、これらの事態は認定による地域差をなくし適正な認定を行うというガイドラインの目的に明らかに反しており保険者の恣意的な判断であること明らかである。
7、障害認定日現症における診断書によると日常生活能力の判定平均は「3」、程度は「4」であり精神の障害に係る等級認定ガイドラインの目安に当てはめると2級に該当する。
8、当ガイドラインは第3等級認定の判定3、等級判定にあたっての留意事項(3)総合評価?で「診断書の記載内容に基づき個別の事案に即して総合的に評価した結果、目安と異なる等級になることもあり得るが、その場合は、合理的かつ明確な理由をもって判定する。」としている。
9、今回の不支給決定は目安に当てはめて2級であるものを2等級下げて不支給としたのであるから、そこには相当程度に明確で合理的な理由がなくてはならない。
10、その理由とした第1は上記の、障害認定日以降に就労していたということであるが、これは上述の通り全く恣意的な判断であり、合理的かつ明確な理由にはなりえない。
11、○○厚生局社会保険審査官○○○○は「家人の援助があったものの、福祉サービスを利用せず、何とか日常生活をこなしていたとされ」を理由としているが、これに至っては噴飯ものである。
12、家人の援助が一体どの程度のものであったかは全く検討されていない。福祉サービスを利用せずというが、同居家族がある場合にそもそも福祉サービスが利用できるかどうかの視点もない。周囲との関係性の中で家族だけで処理していきたいという配慮があった可能性も、その福祉サービスが有償である場合の負担可能性、或いは本人の病状から他人が家庭内に入ることに対する拒否反応の可能性も全く検討されていない。
13、何とか日常生活をこなしていたとは、診断書、申立書に記載されたどの事実をもってそう主張するのか全く不明であり専門家である医師が下した判断を覆すに足りる合理性、明確性は微塵も感じられない。
14、障害認定日以降の、未だ到来していない事象を理由としていること自体で既に十分に恣意的であることは先に述べたが、その事象の評価についても誠にお粗末である。まず10月1日に傷病復職者専用部署に配属された事実を挙げているが、ガイドラインでも顧慮することを要求している仕事の種類、内容、就労後の状況、職場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況について一顧だにされていない。
15、さらにその後開発部署、管理部署などに配属されており一定期間厚生年金の被保険者資格を有していたこと、賞与については一定の減額が認められるが標準報酬月額の大幅な減額はないことを挙げている。厚生年金の被保険者資格を有していることや標準報酬月額が認定の根拠になると書かれている障害認定基準やガイドラインを管見にして私は知らない。
16、復帰の8か月後に「休みがちとなっていったとしているが、開発部署、管理部署などに配属されていた」とし、復職のみを取り上げ不支給の根拠としている。本来重要なのは「休みがちとなっていった」という点であり、精神障害が回復していないことを見るべきであるが全く顧慮していない。不支給の結論ありきの極めて恣意的な姿勢が露である。
以上、原処分並びに○○厚生局社会保険審査官○○○○の下した決定は全く妥当性を欠くものであり即刻原処分を取消し障害年金の支給を決定せよ。
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